米沢有為会は、2019年に創立130周年を迎える、置賜地方の奨学育英、産業・文化振興と会員親睦を目的とした出身者、在住者による会員制・公益社団法人です。2013年7月より公益社団法人移行が認定され、さらなる当会の公益事業や活動の充実へ向け、新たな会員を募集中です。

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年月日  2020年1月19日(日)
 13時30分~17時
催し  第6回本部理事会開催
場所    やまがた育英会駒込学生会館
 東京都北区中里3-7-7

 

 

米沢有為会『文化大学』
講演録(平成29年)


 
 米沢有為会会誌第67号(平成29年12月)より抜粋

 

第20回文化大学(平成28年9月25日(日))

 
・演題;今後の日本の有人宇宙開発について
・講師;国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構名誉教授 上杉邦憲
 

 

 
(講演概要)
 ガガーリンに始まる米ソの有人宇宙開発競争は冷戦の産物という側面が否めず、国威発揚が主目的で、科学探査の比重は小さかったと言わざるを得ません。
 アポロ計画は1969年のアポロ11号から1972年の17号まで続けられ、合計12人が月に送られましたが、人類はその後に月に行っていないし、現在はその能力を持っていません。
 宇宙探査と聞いて多くの人が興味を抱くのは火星でしょう。アメリカは「2030年までに有人火星探査を行いたい」としていますが、アポロの時代と同じく、その主目的は国威発揚であるように感じられます。
 また、有人探査では費用対効果の問題も大きく、アポロ計画のように莫大な資金を投じても、それに見合った科学的成果がなければ意義が薄いでしょう。
 有人探査がその先に想定しているのは、有用な資源の発見や、地球外惑星への人間の定住という見方があります。
 2009年7月にNASAが公聴会を開き、これからの宇宙探査、特に有人探査はどうあるべきかについて議論しました。議長は宇宙探査の意義を「人類の文明を地球外に広める」と総括し、「いずれ火星に恒久的に人類を存在させる。そのためにはコストがかかり、強力なサポートを必要とする」と述べ、NASAに「火星の有人探査予算をつけて欲しい」と言っています。 「科学的探査には有人探査が必要」では予算を得られにくいため、このような表現をしたのだと思われます。
 では、実際に「火星に人類を定住させる」ことは可能でしょうか?
 火星の大気は100分の1気圧程度で、酸素も水も殆どありません。気温は場所によりマイナス100~0℃ほど。重力は地球の約3分の1で、磁場がほとんどないため大量の放射線が降り注ぎます。
 たとえ空気や水は供給できたとしても、火星の重力に適合して育った定住者の二世、三世は地球に還ることができないはずです。
 最大の問題は放射線で、火星への旅では一年で660mSv(ミリシーベルト)の放射線を被爆すると言われています。地球上で人が浴びる放射線は年平均1~2.4mSv、レントゲン業務に携わる人の年間許容被爆量上限は50mSvです。
 宇宙飛行士の若田光一氏は積算でほぼ一年宇宙に滞在し、約360mSvを浴びました。人は1000mSvを被爆すると命にかかわるので、約三年はかかる火星までの往復は困難で、まして定住など不可能と言ってよいでしょう。
 
民間人の宇宙旅行は将来の有力分野
 
 これからの有人宇宙開発の意義は、国威発揚以外に求められるべきであり、私は有人宇宙開発を「友人宇宙開発」にすることを提唱します。それは、誰もが簡単に宇宙に行けるようになるための開発を意味しています。
 日本は国際宇宙ステーション(ISS)に実験装置「きぼう」や補給機「こうのとり」を送り込み、宇宙飛行士も活躍しています。しかし、そのISSの運用は2024年に終了予定で、その先の有人宇宙計画について、国として指針は未だ定まっていません。
 一方で、民間による「友人宇宙探査」に関して、世界の動きは活発になっています。
 例えば、地球周回軌道上に「宇宙ホテル」を打ち上げる計画があります。
 宇宙ホテルの内部に空気を満たします。円筒形のホテルを回転させて、壁際に1Gの重力を与えても、回転軸の辺りは無重量なので、 水を張れば壁際は普通のプール、回転軸の付近では水玉が浮いたりすることになります。また、腕に翼を付けて鳥のように飛ぶこともできます。こういうホテルを想像すると、夢が膨らみます。
 ただし、放射線の影響を受けるため、従業員が長期間そこで働くことはできず、宇宙ホテルのスタッフの多くはロボットになるでしょう。
 そうした宇宙旅行のために、アメリカは既に十カ所ほどの商業用スペースポートの建設を認可しています。他に世界八カ国で同じような構想が練られています。
 日本では、北海道大樹町の広大な敷地を利用して、ロケットの打ち上げも可能な総合的なスペースポートを造る計画があります。
火星移住のような非現実的な宇宙開発より、私たちは「友人宇宙開発」 の分野に力を入れるべきではないでしょうか。
 
 

第21回文化大学(平成29年4月29日(土))

 
 ・演題;鎌倉の緑と景観を守るNPO
 ・講師;日本景観学会理事 渡辺光子

  
(講演概要)
(一)鎌倉の緑と風致を守る市と市民
 鎌倉市 (人口17万人余)は海に面し三方を丘陵に囲まれている。 森林や緑地は、社寺や文化財と同じく鎌倉らしい景観を形成する重要な要素である。しかし、戦後の大規模開発などにより、樹林被率は32.48%(2013年市統計)にまで減少し、谷戸(やと)切通し、やぐらといった鎌倉特有の風致が大分失われた。このため、鎌倉市は34もの法令などを駆使し保全に努めている。市域の55.5%を風致地区に指定し、低層建築や緑化を市民に義務づけている。結果、鎌倉は毎年2000万人もの人々が訪れる美しいまちとなった。
 市民は、乱開発の計画が持ち上がる度に力を合わせ、緑と風致を守り続けている。
 
(二) 「鎌倉風致保存会」による日本初のナショナル・トラスト
 東京オリンピックの年、 鶴岡八幡宮の裏山(御谷の森、おやつのもり)を宅地開発する計画が持ち上がった。これを阻止するため地元住民、僧侶、文化人が立ち上がった。大佛次郎は、「市民から寄付を募り、残したい土地や建物を購入・保存する英国のナショナル・トラスト」を全国に紹介し、協力を呼び掛けた。「鎌倉風致保存会」を設立し寄付金で御谷の森を買い取った。 “日本初”のナショナル・トラストである。1965年には、超党派の議員を動かし「古都の歴史的景観を乱開発から守るための古都保存法」を誕生させた。こちらも日本初の世論立法であった。
 
(三)市民参加で活性化
 その後暫く休眠状態が続いた「鎌倉風致保存会」 だが、「人々の参加」によって活性化した。1996年から緑地保全作業のボランティアを募り1998年から会員制とした。現在450人の会員が、4つのトラスト緑地約8万㎡と旧坂井邸洋館(昭和2年築、 国の有形文化財、遺贈)を所有管理している。その財源となった寄付金は総額2億1700万円(2014年現在)にのぼる。
 活動の中心は「みどりのボランティア」である。会のトラスト緑地、史跡、社寺など11カ所で下草刈りや倒木処理といった作業を年40回行い、延べ約2000人が参加している。市内の中学生700人も山の手入れや海岸清掃に参加している。市内外の学校、企業、各種団体からも自然学習体験にやって来る。その他、里山ふれあい祭り、植樹会、栗拾いなど、会員自らが楽しい催しを企画し、参加の輪を広げている。市はハイキングコースパトロール事業を委託し人材や資金面でも支援している。
 
(四)NPO(民間非営利組織)の目的は社会貢献
 「人や社会の役に立ちたい」というのは人間の善性なのであろう。世界各地で、人々は結社し、社会貢献に励んでいる。国際調査によれば、こうした組織の呼称はまちまちだが、目的と要件は共通している。
 「目的:公共の福祉への貢献即ち社会の課題解決。要件:組織、非政府=民間、非営利=利益の非分配、自治、自発性」。非営利組織は、事業収益から人件費などの経費を引いた純利を分配せず内部留保し、解散時には残余財産を公共団体やNPOに寄付することが法律で規定されている。
 日本には、民法及び120余りの特別法を根拠とする多様なNPOが存在し、その数は年々増加している。NPO、 企業、 行政が各々の特性を生かし協働することで、より豊かな社会が創られる。NPOの草分けである「米沢有為会(公益社団法人)」には、奨学金と寮を媒介に、世代間の貴重な交流が常在する。この幸運な出会いを若者たちがどのように人生の糧とし、会と社会に還元していくのだろうか、大いに楽しみである。
 
(プロフィール)
仙台市出身 法政大学大学院博士課程(NPO研究)修了
神奈川県議会議員
宮城県環境生活部次長
現在「鎌倉市民フォーラム」代表
著書
「市民力を活かす」 ランダムハウス講談社 (2008年)
「NPOと自治体の協働論」日本評論社(2012年)
 

 
  

第22回文化大学(平成29年7月8日(土))

 
演題;今も生きる上杉鷹山公
講師;米沢市長 中川勝

(講演概要)
○上杉鷹山公の藩主としての心得
 九州の小大名である秋月家に生まれた鷹山公が上杉家の養子になり、米沢藩の世継ぎとなったとき、まだ17歳の少年であった。そのときに詠んだのが次の誓文である。
「受け継ぎて国の司の身となれば忘るまじきは民の父母」
 鷹山公の「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」という有名な言葉があるが、意味するものは、「綿花やミカンの生産など雪国、極寒の地ではできないものに時間を費やしても労力の無駄だ。この米沢でできるものに全力で取り組み資源を生産することでより高い収益をあげることができる」という教えであったと考える。そして、この教えは、今の「地方創生」にも通じるものである。
 鷹山公は、任について数年後厳しい財政状況の中、閉鎖されていた藩校を再興し、興譲館と名づけた。館長には当代屈指の学者で鷹山公の師、 細井平洲先生を招いた。平洲先生は鷹山公に君主としての心構えを教えられたが、その中でも「学思考相まって良となす」―学んだことはよく考え、実践して初めて学んだことになる―という教えは、今も私どもの市政運営に通じるものである。
 
○米沢市の概況と今後の抱負
 平成24年度の情報電子製造業・機械電気製造業・繊維衣服製造業などの製造品出荷額は、5371億円で東北地方において第6位であった。平成28年3月に、今後十年間のまちづくりの指針を示す「米沢市まちづくり総合計画」を作成した。 『ひとが輝き創造し続ける学園都市・米沢』を将来像に掲げ、本市の地域特性の一つである「学園都市」に着目し、 山形大学工学部、県立米沢栄養大学、 県立米沢女子短期大学の発展を支え、大学と連携し挑戦する企業、共同研究する企業の育成に努めたい。また、今注目を集める有機エレクトロニクス等新分野から大学周辺に企業の研究所、試作開発施設、工場や地域企業の参画も促進し、政策支援をしたい。
 上杉の城下町として、また、地域の豊富な観光資源を生かして、観光にも力を入れている。米沢牛は、農林水産省の地理的表示保護制度(GI)に登録され、日本三大和牛の一つとして一層のブランド化が期待できる。子牛一頭の値段が70万円にも跳ね上がり、 年間2000頭の出荷の目標には規模の拡大や子牛の値段の高騰など課題もある。
 昨年度のふるさと納税の寄付額は、35億3400万円で県内トップ、全国でも7位だった。返礼品として八割の人気を集めたのが地元で製造されたノートパソコンである。しかし、 総務省からの見直し通知により、 ノートパソコンの返礼は今年の7月末で終了した。
 公立置賜総合病院は、置賜地方の二市二町(長井市・南陽市・川西町・飯豊町)と山形県が運営管理に当たり高度な医療ができる地域の拠点病院である。地域としては初めての救命救急センターも設置されている。
 米沢市立病院は、施設の老朽化が進み、建て替えの検討に入っている。今年初め、市内の民間病院である三友堂病院と統合・連携を図ることで合意し、医師の確保や救急・夜間診療など、地域医療を守る観点で連携しなければならない。
 置賜三市五町のどの自治体も、少子化の影響で中学校の統廃合が進んでいるが、小学校の統廃合は地域住民の理解がないと進まない現状である。財政状況をみると、住民税・法人税・固定資産税等の税収入の占める割合は、支出の55%であり、不足分は地方交付税で補われている。
 高齢化が進んでおり、いつまでも元気に長寿社会を生き抜き地域の一役を担っていただくためにも、「健康長寿日本一」を目指し、対策本部を立ち上げた。いわゆるピンピンコロリの生き方を奨励したい。
 置賜地方の三市五町は、いずれも止まらない人口減少の悩みを抱えており、今後ますます地域の連携が大事になってくる。置賜三市五町合意のもと、「定住自立圏構想」の中心都市としてリーダーシップを取り、置賜全体の活性化に向け取り組んでいく。地域の活性化のためにも、若者が郷里に戻りたくなるような市・町になるように努力してまいりたい。
 
-プロフィール-
【生年月日】
昭和25年7月7日生
【略歴】
山形県立米沢商業高等学校卒
昭和58年4月 米沢市議会議員初当選 連続5期20年を務める
平成9年5月 米沢市議会議長
平成15年4月 県議会議員初当選 連続3期12年を務める
平成27年12月 第36代米沢市長
 

 
 
 
第1回野外文化大学(平成28年10月21日)

 

上杉名誉会長と行くJAXA相模原見学ツアー
 

 
 文化大学の野外版として、上杉邦憲名誉会長(JAXA名誉教授)が活躍されたJAXA相模原キャンパスの見学ツアーが、23名の会員参加のもと行われました。
 JAXA相模原は、2010年に奇跡の帰還を果たした小惑星探査機はやぶさで一層有名になったところです。
 一般展示エリア(はやぶさなどの衛星模型、ロケットの歴史パネル、ビデオ鑑賞など)に加えて、上杉名誉会長のお計らいで特別に、衛星の組み立て・検査エリアや、はやぶさの管制が行われた衛星管制ルームなども見学することができました(撮影禁止) 。


 案内役は、JAXAの並木道義さん。並木さんは、今は広報・普及担当ですが、かつては西村純会員(東大・JAXA名誉教授)のもとで科学観測気球研究に携わり、はやぶさ回収にも関わった方です。会員から活発な質問が出ましたが、深い専門知識をベースに非常にわかりやすい説明をしていただきました。
 現在6台の衛星を監視している衛星管制ルームでは、上杉名誉会長のはやぶさ追跡・回収のお話で盛り上がりました。地球から電波を送って返答があるまで35分かかる中での苦労、音信不通となってから回復まで待った2か月間、回収の模様などを興味深く聞きました。上杉名誉会長は地球帰還の際のカプセル切り離しの技術にも関与され、回収の際はさすがにハラハラされたそうです。
 さらに、屋外のロケット実物展示、隣接の相模原市立博物館・宇宙展示エリアを見学し、淵野辺駅前の居酒屋での懇親会で親睦を深め、散会しました。(記・加藤国雄)

 
 

第2回野外文化大学(平成29年6月23、24日)

 

NEC米沢、市立米沢図書館見学
 

 当会定時総会に合わせ、野外文化大学が実施されました。
 
 NEC米沢工場見学

 
 総会前日午後、米沢駅東口近くの標記工場を訪問しました。ここでは、世界最軽量のパソコン(PC)が生産されています。
 30年前本社や中核工場の下請けだったこの米沢工場(旧・米沢製作所)が、工場独自技術でのノートブックPCの開発で、NECの中核工場になりました。
 ビデオなどによる製品や生産工程などの説明の後、工場見学となりました。


 ユーザーの仕様に合わせると2万種類となるPCを一日最大で2万台以上、受注して最短3日で作っているそうです。これを実現するのが、多品種少量生産を可能にする「セル生産方式」 。ベルトコンベア方式でなく、一か所で少人数が製品を組み立てる方式です。部品が、「かんばん方式(トヨタ生産方式) 」で即座に届きます。PCの販売状況をモニター・予測しながら生産計画が立てられ、 部品等の納入業者へきめ細かく発注するサプライ ・チェーンを確立することで無駄のない迅速な生産を実現しています。
 2フロアから成る生産現場でしたが、空間的なゆとりが感じられました。本事業所幹部であった種村米沢副支部長によれば、以前近くにあった部品倉庫が必要なくなり、生産や部品供給の合理化とPC自体の小型化で省スペースの生産を実現しています。
 従業員のアイデアが随所に生かされ、「日本のモノづくり」の健在さを実感しました。
 
市立米沢図書館ナセBA見学

 
 総会当日の午前、標記図書館を訪問しました。
 昨年7月1日に新装オープンし、図書館と市民ギャラリー(一階部)からなります。愛称「ナセBA」は上杉鷹山公の名言「なせば成る」が由来です。当会新会長・大滝則忠さん(前・国会図書館長)も基本計画策定委員長として関与されました。
 村野隆男館長にご案内いただき、一般利用者が入れない郷土資料収納スペースなども見学させていただきました。

 

 
 
 

 
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