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米沢有為会会誌復刊64号(平成26年10月)
興譲館だより(平成26年、2014年)

東京興譲館

本 田 健太朗

 うだるような真夏の暑さも過ぎ去り、虫の声と風の匂いに秋の訪れを感じられます。勉学やスポーツに打ち込める大変過ごしやすい季節となってまいりました。日頃、寮の運営に尽力頂いております米沢有為会の皆様には感謝の気持ちを申し上げるとともに、今年度の東京興譲館の近況報告をさせて頂きます。

 新入寮生による活性化
 今年度の東京興譲館では4月に9名の新入寮生を迎え、満員に近い23名で新生活をスタートさせることができました。その後、4名の退寮者が出てしまい若干寂しくもなりましたが、現在総勢19名で元気に有意義な寮生活を送っています。初めは緊張していた様子の新 寮生たちですが、5月に行われた新入生歓迎会や日々の生活を通し先輩達との交流が増えたことで、徐々に寮生活にも馴染んできたようです。また、今年度は2年生以上の入寮者も多く、それぞれが貴重な体験や大きな志を抱いております。4年生の大浦君は、映画のプロデューサーになるため、東北大学を1年休学して、都内の映画専門学校に通いながら映画配給会社でのインターンをしています。3年生の小沼君は、山形県庁の職員となり土木関連の仕事をするため、研究室活動に注力しています。2年生の庭屋君は、昨年休学してバックパッカーとしてアジア4か国を旅し、日本と海外の文化の違いを学び現地や同じ旅行者との交流を経験しています。このような仲間がいることは自分たちにとって強い刺激であり、日々の寮生活にも充実感を与えてくれるものだと感じています。  さて、ここ数年、入寮者の減少に悩んでいた東京興譲館ですが、川合館長をはじめ米沢有為会の皆様の地道な広報活動により、徐々に増加の傾向になりつつあります。これは、皆様の尽力の賜物であり、感謝の気持ちを持つとともに自分たちも新入寮生の勧誘に力を入れなければ、という気持ちを強く感じております。

 学生の変化と寮のあるべき姿
 しかし一方で途中退寮者の人数も増加しております。「規則に縛られるのが嫌になったから寮を出る」、「自分の時間が持てないから寮を出る」というのが退寮の主な理由ですが、それらは自分や周りの人に対して無責任であり、自己管理の怠慢でもあるのではないかと思います。最近では、寮生同士で積極的に話しかけ合い、大学生活や寮での悩み事がないか、普段どんな生活をしているのか、などを定期的に確認し合うことにしています。改めて我々寮生の緩んだ意識と雰囲気の改善に努める必要があると痛感しております。  昨今の学生は価値観の変化からか、プライバシーや個人生活を尊重し、寮生活における風呂掃除などの共同作業や月々の行事、寮の規則、役職などを煩わしいと感じることが多いようです。また、他人とのコミュニケーションが希薄になりがちだということも特徴の1つです。先輩と後輩という関係が保たれつつも、お互いの間には親密なコミュニケーションがある、そんな伝統的な人間関係が変化しつつあるようです。しかしながら、寮での共同生活とは本来、先輩や後輩など異なる学年間での交流を通して年上・年下との接し方を学び、自分のためでなく他人のための行動をすることで、今後社会において必要な協調性や社会性、責任感などを身につけていく場であるであると私は考えています。例えば、4年生が3年生に就職活動についてのアドバイスを行ったり、同期同士で期末試験前に勉強を教え合ったりすることで、後輩は先輩というものの在り方やお互いに協力し切磋琢磨することの必要性を学ぶ事ができます。他には、寮の会計収支の見直しを行い、無駄な支出を削減するため意見を出し合うことで、一人一人が寮の運営に関わっているという自覚と責任感を持つことができます。最近では、電気代や水道代などの節約に努めています。  また、時にはコンパなどで時間を忘れ楽しむことも、寮生同士で酒を酌み交わし将来の夢を語り合うことも、同じ釜の飯を食べ勉学に励むのも、寮生活ならではの貴重な経験ではないかと思います。そして、苦労や楽しみなど様々な体験を共有した一生の仲間ができることが、寮で生活する最大の利点であるだと思います。  最後になりましたが、我々がこのような素晴らしい環境で生活し勉学に励むことができるのも、多くの方々の支援があってのことです。特に、館長の川合さん、事務の中川さん、寮母の三浦さん、米沢有為会の皆様には、寮生一同深く感謝の気持ちを申し上げます。また、その感謝の気持ちを行動に示し、結果として残していくため、一所懸命努力してまいります。改めてこれからも東京興譲館をよろしくお願い致します。  最後に寮生の紹介をさせて頂きます。

○大学院生
 玉橋 一馬〔東京理科大学大学院理学研究科〕 (米沢興譲館高校)
○4年生
 大浦 雅俊〔東北大学教育学部教育科学科〕 (仙台第二高校)
 島津 興史〔日本大学法学部〕 (日本大学山形高校)
 本田健太朗〔東京農業大学国際食料情報学部食料環境経済学科〕 (高畠高校)
 松嵜 祐樹〔早稲田大学創造理工学部経営システム学科〕 (米沢興譲館高校)
 宮坂  圭〔中央大学商学部経営学科〕 (米沢興譲館高校)
○3年生
 元木 康長[法政大学法学部法律学科] 長井高校)
 江藤 修人〔東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科〕(基督教独立学園高校)
 小形 悠介〔東洋大学経済学部国際経済学科〕 米沢興譲館高校)
 小沼  尽〔東京農業大学地球環境科学部生産環境工学科〕 (置賜農業高校)
○2年生
 高橋 祐大〔専修大学法学部法律学科〕 (米沢東高校)
 庭屋 優太〔青山学院大学教育人間科学部〕 基督教独立学園高校)
 星 悠一郎〔早稲田大学法学部〕 米沢興譲館高校)
○1年生
 相澤祐一郎〔高千穂大学商学部〕 (南陽高校)
 稲葉  光〔青山学院大学教育人間科学部〕 (基督教独立学園高校)
 梅沢 晃徳〔中央大学法学部政治学科〕 (米沢興譲館高校)
 梅沢 剛英〔法政大学社会学部社会政策科学科〕 (米沢興譲館高校)
 木村 威人〔専修大学人間科学部社会学科〕 (山形中央高校)
 武田 和樹〔駒澤大学仏教学部仏教学科〕 (米沢興譲館高校)








仙台興譲館

黒 田 啓 太

 今年は、西日本で大雨が続き広島市では土砂崩れにより大勢の命が失われるなど、予期せぬ災害に見舞われた夏になりましたが、9月に入ると暑さも薄れ秋の訪れを感じる過ごしやすい気候になりました。また、秋口には、テニスの錦織圭選手が全米オープンで準優勝するなど日本人の世界での活躍という明るいニュースもありました。  さて、先年は、有為会の先生方のご尽力もあり9名の新入寮生を迎え在寮生18名という大人数で活気のある寮生活を送ることができました。しかし、今年度は新入寮生を迎えることができず、7名が卒寮し11名での寂しいスタートとなってしまいました。空き部屋も目立つ状態で、歓迎会等の寮行事の出席人数も少なくなってしまい、人数が少ないと一人一人の寮の仕事も多くなってしまうため寮の運営も難しくなってしまいます。  また、昨年度は2名の中途退寮者がいましたが、今年度も残念ながら現時点で2名の中途での退寮者が決定している状態で、後期からの寮運営はより厳しくなると思われます。こうした中途での退寮者が増えてきている理由としては、自活能力が低く生活が乱れそのために学業に専念できない学生が増えてきていることが挙げられます。入寮する学生の多くは高校を卒業し大学へ入って、初めて親元を離れて自分の力で生活するという人です。そのような者に対してサポートするということも寮生活の長所であると思います。集団生活を通して、学業と普段の生活の両方で助け合いより高い水準に持っていくことができれば、寮としての魅力も増すのではないかと感じます。  寮生活をしていく中で、生活スタイルの違いなどの不便や不満、我慢しなければならないことなどは必ず出てくると思います。しかし、寮生活の本当のメリットはそうした様々な問題を寮生全体で考え対処していくという過程にこそあります。同郷の同世代の仲間と共に生活し語り合う環境は、とても珍しく貴重なものです。寮での生活を経て得た仲間は一生のつながりになりますし、寮で得た経験は他では得難い価値のあるものであると思います。  最後になりますが、私たちがこうして寮生活を送ることができるのは、甲仙台支部長、滝口仙台興譲館館長をはじめ多くの方々のお支えのおかげです。また、寮母の小野寺さんには、毎日の食事をはじめ様々なところで本当にお世話になっています。そうした感謝の念を忘れずに、これからも意義のある寮生活ができるように一生懸命頑張っていきたいと思います。

○専門学校
 増田  塁[東北文化学園専門学校臨床工学科] (米沢興譲館)
○大学院生
 島森 拓土[東北大学大学院理学研究科] (米沢興譲館高校)
 原田 学思[東北大学大学院工学部機械知能・航空学科] (米沢興譲館高校)
○大学4年生
 遠藤 季理[東北大学経済学部] (米沢興譲館高校)
 黒田 啓太[東北大学法学部] (米沢東高校)(9月退寮)
○大学2年生
 荒井 洸毅[東北学院大学工学部機械知能工学科] (米沢工業高校)
 菅野 将紀[東北大学経済学部] (米沢興譲館高校)
 西京  毅[東北大学工学部機械知能学科] (米沢興譲館高校)
 平  駿人[東北大学理学部数学科] (長井高校)
 遠藤 草太[東北学院大学経営学部経営学科] (米沢東高校)
 松浦 勇太[東北学院大学経済学部経済学科] (米沢興譲館高校)
○寮母
 小野寺 眞知子 [岩手県一関市出身][9年目]