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米沢有為会会誌復刊61号(平成23年9月)
興譲館だより(平成23年、2011年)

東京興譲館

菊 地 邦 貴
 秋まだ遠く、厳しい残暑が続いています。この酷暑の中体調に気をつけ、万全の状態で秋の訪れを待ちたいものです。今年の3月、東日本大震災により日本は多大な被害を受けました。震源地からだいぶ違い東京興譲館も大きく揺れましたが、去年の耐震工事のおかげで大きな被害もなく、耐震工事のありがたさを深く感じるとともに自然災害の恐ろしさを再確認させる出来事でした。そんななか6名が退寮し、4名の新入舎生が入寮しました。震災の影響で落ち込む空気を変え、例年以上に新しい仲間とともに前進するという一体感を固めました。総勢20名と人数は少ないものの、満室の時のような明るく楽しい雰囲気となっています。寮生活は今までの実家暮らしや一人暮らしと大きく違い、自分の生活行動が大きく他者に影響を与えます。新入生には寮生活でしか得られない楽しさ、先輩との上下関係、集団生活の心構えなど多くのことを学んでほしいものです。  学生寮は、学科や学年などが異なる学生同士が寝食を共にすることにより自らの成長を図り、寮生自身による自主的で規律ある寮運営を行っていくという意味をもっています。東京興譲館は学生自身が興譲館寮のことを真剣に考え、相談し意見を出し合い、この寮をより素晴らしいものにしようと頑張っています。最近では節電対策などの生活上の無駄や怠慢を見直し、少しずつ改善しています。節電に関しては早速電気代の減少が数値として確認することができ、寮生も自分たちの努力を実感しさらなる努力を重ねています。  和やかな雰囲気の中にも寮生には共同生活を通して、社会が求める社会性・自主性が自然に身についていくと考えています。しかし、団体生活には守らなければならない規則や果たさなければならない役割があり、一人暮らしのような気ままな生活はできません。寮生活を通して、人格を磨き、規律正しい生活を送ることは、自己を見つめ直す絶好の機会であり、得がたい体験です。  このような環境で生活できるのは米沢有為会を始め、様々な人々の支援があってこそ成り立っています。寮生はこれを自覚し立派な社会人になるために精進を怠ってはなりません。感謝の気持ちを忘れず、各自が様々な支援、助けにたいしてどう応え、行動するべきか常に考え、頑張っていきたいと思います。  最後に寮生の紹介をします。

○4年生
 山田  伸〔法政大学工学部電子情科〕 (米沢興譲館高校)
 菊地 邦貴〔日本大学文理学部心理学科〕 (米沢興譲館高校)
 後藤健太郎〔東京学芸大学教育学部B類英語学科〕 (米沢興譲館高校)
 中村 竜也〔国士舘大学法学部法律学科〕 (米沢中央高校)
 樋口  駿〔東京大学理科一類〕 (長井高校)
 船山 弘樹〔立教大学理学部数学科〕 (米沢興譲館高校)
 松木龍太郎〔慶応義塾大学文学部人文社会学科〕 (長井高校)
○3年生
 相田 弘樹〔明治大学〕 (九里高校)
 佐藤 拓弥〔高千穂大学商学部商学科〕 (米沢商業高校)
 島津 良輔〔東洋大学法学部企業法学科〕 (長井高校)
 王橋 一馬〔東京理科大学理学部化学科〕 (米沢興譲館高校)
 元木 康長〔法政大学法学部法律学科〕 (長井高校)
○2年生
 島貫 翔伍〔明治大学商学部商学科〕 (八千代高校)
 高橋  心〔電気通信大学情報理工学部知能機械工学科〕 (米沢興譲館高校)
 富樫 史博〔日本大学文理学部地球システム学科〕 (基督数独立学園)
 山下 智昭〔中央大学商学部会計学科〕  (米沢興譲館高校)
○1年生
 鈴木  亮〔東京農業大学短期大学栄養学科〕 (南陽高校)
 松嵜 祐樹〔早稲田大学創造理工学部経営システム学科〕 (米沢興譲館高校)
 本田健太郎〔東京農業大学国際食料情報学部食料経済学科〕 (高畠高校)
 宮坂  圭〔中央大学商学部経営学科〕 (米沢興譲館高校)





生徒間の団欒の様子



仙台興譲館

安 部 玄 樹
 例年稀にみるうだるような猛暑続きとなった夏も過ぎ去り、初秋の季節となりました。秋色は次第に濃くなり過ごしやすい日が多くなり、暑さにうなされて過ごしていた体や気持ちを引締め直し、日々の生活を送っていきたいものです。  さて、仙台興譲館では今春、2名の寮生が卒寮となり、その穴を埋めるように2人の新入舎生が入寮し、総勢12名でのスタートとなりました。また、昨年アメリカヘと留学していた島貫洋平も今夏、仙台興譲館寮に戻ってきたため、現在は総勢13名で寮生活を送っています。寮生の減少は免れたものの、長年危惧されている寮生の減少は、依然として非常に大きな問題です。寮生の減少傾向の原因としては、我が子を寮に入れなければ大学に通わせられないというほど逼迫した家庭が昔と比べて減少したことや、個人主義の台頭からか、寮での共同生活によって自由を制限されることは、前時代的であるという考え方をする若者が非常に増えてきていることが挙げられます。しかし私は、共同生活により制限されるものよりも、共同生活によって得られるものの方が遥かに大きいものだと考えます。同年代の仲間や先輩たちと同じ釜の飯を食い、将来を真剣に語り合い、また、後輩は先輩から今までの経験談を教えてもらったりもしながら、お互いを刺激しあい、一生涯ものの絆を深めてきました。それは、同じ屋根の下で苦楽を共にしなければ、築いていけるものでは無かったでしょう。また、風呂や廊下・食堂の掃除や寮の大掃除、ゴミ出し、夜の鍵の点検、月1回開かれるリーダー会議、季節の節目に開かれる寮生総会の出席など、寮生に課される義務は数多くありますが、それらをそれぞれが担うことにより、我々には責任感や協調性が生まれ、それは我々が社会に旅立っていく上でも非常に大きな糧になるのではないでしょうか。  前年度の終盤、未だ記憶に新しい3月11日に起こった大地震は、東北や関東、日本中の人々に非常に大きな恐怖を与え、私たち寮生も本当に大きな衝撃を受けました。しかし私は、この大地震の時にこそ、自分が仙台興譲館寮生で良かったと、心の底から、今までで最も強く感じました。地震が発生した際、私たちは全員食堂に集合し、その時にあった食糧を持ち寄ったり懐中電灯を持ってきたりして今後に備えました。地震発生後すぐに電気は使えなくなり、数十分後にはガスも使えなくなってしまいました。しかしそんな中でも寮生達の表情には、恐怖の色は全く浮かんではおらず、それどころか笑顔すら浮かべていたようにも思います。それは、信頼し合える仲間がいて、何か起こっても皆がいれば協力して乗り越えていけるという確信があったからです。持ち寄った食糧や、スーパーやコンビニの大行列に並んで手に入れた食糧を互いに分け合いながら、誰も体調を崩したりすることもなく無事に生活することができ、地震から数日後、寮生の保護者から迎えの車が到着し、寮生の多くは実家に帰ることが出来ました。寮に残った者も数名いましたが、食糧を分け合い、食事当番を分担したりしながら、平穏無事に暮らしたようです。私がもし一人暮らしをしていたら、地震にどう対処していいかも分からず、誰と連絡を取ることもできず、一人で途方に暮れて寂しさと不安感に打ちひしがれていたのだろうかと思うと、本当にぞっとします。どんな時でも寮には仲間がいるという安心感、やはりそれが寮の共同生活というものの何よりの強みではないでしょうか。  このようなかけがえの無いものを得られる場である寮生活を送らせていただけることに対して、我々寮生一同は真摯な感謝の態度を持ち続けるべきであると、私は感じています。我々に毎日栄養のある美味しい食事を提供してくださり、寮生活で我々に改善するべき所があれば逐一指摘してくださる寮母の小野寺さん、いつも寮のことを気にかけてくださり、行事にも毎回いらっしゃっていただき、寮全般のサポートをしてくださる御供館長、滝口副館長、甲支部長、私たちの寮生活を支え続けてださっている米沢有為会の皆様には、本当に心からの感謝の気持ちを申し上げたいと思います。我々を支えてくださる皆様の気持ちに背くことがないよう、社会に大きく貢献できる人間を目指して邁進し、皆様から受けた御恩を還元していきたいと、強く願っております。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。  最後になりますが、寮生の紹介をさせていただきます。

○専門学校
 塩田  元 〔東京IT会計専門学校仙台校会計学科会計士コース〕
       〔山形大学人文学部人間文化学科〕 (山形東高校)
○大学院生
 島森 拓土 〔東北大学大学院理学研究科〕 (米沢興譲館高校)
○大学4年生
 塩田  紳 〔東北大学法学部法学科〕  (山形東高校)
 島貫 洋平 〔東北大学人文社会科学科〕  (長井高校)
 高橋  玄 〔東北福祉大学総合福祉学部社会福祉科〕 (日本大学山形高校)
 宮坂  匡 〔東北学院大学経済学部〕 (米沢中央高校)
○大学3年生
 安部 玄樹 〔東北大学法学部法学科〕 (米沢興譲館高校)
 青木 謙人 〔東北大学工学部材料科学科〕  (米沢興譲館高校)
 原田 学思 〔東北大学工学部機械知能航空工学科〕 (米沢興譲館高校)
 佐藤 丈洋 〔東北大学医学部保健学科放射線技能科学専攻〕 (長井高校)
○大学2年生
 遠藤 季理 〔東北大学経済学部〕 (米沢興譲館高校)
 太田 嵩人 〔東北工業大学工学部知能エレクトロニクス学科〕  (米沢中央高校)
○大学1年生
 黒田 啓太 〔東北大学法学部法学科〕 (米沢東高校)


今年度の新入寮生歓迎会