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米沢有為会会誌復刊60号(平成22年9月)
興譲館だより(平成22年、2010年)

東京興譲館

益 満   望
 今が立秋であることを忘れてしまいそうな厳しい暑さが尾を引き、記録的な真夏日が続く中、秋の訪れを待ち遠しく感じる日々です。この暑さに気が滅入らないよう己を律し、気を緩めずに日々の生活を送っていきたいものです。  さて、東京興譲館では今春、卒業生6名が退寮しましたが、その穴を埋めるかのように5名の新入舎生が入寮することとなり、総勢24名という賑やかな様相を呈しています。昨年の11月には寮の改修工事も終わり、真新しい寮と新入舎生の入寮という2つの新しい風が吹き込んだ結果、いささか賑やかすぎるくらいですがそれもまた東京興譲館らしいと言えるでしょう。新入舎生の方々にはまだまだ寮生活や東京での生活に慣れておらず、とまどう場面も多々あるとは思いますが、その中で自分なりに目的を見つけ勉学のみに限らず日々の生活の中の様々な出来事に対しても実りのある大学生活を送って欲しいものです。また上級生もそんな新入舎生の指標となり、また自分自身にも新たな目標を見つけ互いに切磋琢磨しあってほしいです。  近年は価値観の変化からか共同生活という形態をとる寮生活を選択する学生は減ってきていますが、しかしこのような時代だからこそ共同生活で得られるものは大いにあると感じています。風呂や廊下の掃除や寮全体の大掃除、月に1回開かれる舎生会の出席など共同生活ならではの規則や各人が負うべき責務はありますが、それらを守るあるいは担うことによって自分の行動に責任を持ちお互いを気遣う気持ちが身につきます。また東京という見知らぬ土地で右も左も分からない中、同郷の先輩、同期、後輩がいる寮があるというのは心強いものであり、そんな人々と繋がりを持てるというのは安心しますし貴重なことでしょう。またコンパなどで皆が時間を忘れ楽しむことも、同じ釜の飯を食べあうというができるのも寮生活ならではです。個人主義が主流になりつつある中、大学生活において寮で共同生活を営むということは何にも変えがたい経験と一生物の仲間を得る機会となるでしょう。  このような寮生活を送れるのも様々な方々のサポートがあるからこそだと思います。私たちに日々の食事を不足なく提供してくれる寮母の三浦さん、舎生会やコンパに限らず常に私たちの様子を見に来、時にはアドバイスや励ましの言葉をかけてくださる館長の沼澤さん、副館長の川合さん、事務局長の中川さん、そして私たちの寮生活を根底から支え続けてくださっている米沢有為会の皆様には頭が上がらないほど感謝の気持ちでいっぱいで す。このような恵まれた環境を与えていてくださっている皆様のためなのはもちろんのこと、私たち自身のためにも自分自身を高め、期待に応えていけますようより一層の努力をしてまいりますのでこれからもどうぞよろしくお願いいたします。  最後になりますが寮生の紹介をさせていただきます。

○大学院2年生
 鈴木 浩晃〔関東学院大学法務研究科実務法学専攻〕 (泰星高校)
○4年生
 舟山 智徳〔東京外国語大学外国語学部マレーシア語学科〕 (長井高校)
 鈴水 浩輝〔慶應義塾大学法学部法律学科〕 (泰星高校)
 須藤 龍司〔明治大学農学部農業経済学科〕 (南陽高校)
 益満  望〔桜美林大学リベラルアーツ学群〕 (米沢中央高校)
 山田  伸〔法政大学工学部電子情報学科〕 (米沢興譲館高校)
 田中 大輔〔日本大学法学部管理行政学科〕  (日大山形高校)
○3年生
 後藤健太郎〔東京学芸大学教育学部B類英語学科〕 (米沢興譲館高枝)
 中村 竜也〔国士舘大学法学部法律学科〕 (米沢中央高校)
 樋口  駿〔東京大学理科一類〕 (長井高校)
 船山 宏樹〔立教大学理学部数学科〕 (米沢興譲館高校)
 菊池 邦貴〔日本大学文理学部心理学科〕 (米沢興譲館高校)
 松木龍太郎〔慶應義塾大学文学部人文社会学科〕 (長井高校)
○2年生
 相田 拓樹〔明治大学文学部文学科〕 (九里高校)
 佐藤 拓弥〔高千穂大学商学部商学科〕 (米沢商業高校)
 島津 良輔〔東洋大学法学部企業法学科〕 (長井高校)
 玉橋 一馬〔東京理科大学理学部化学科〕 (米沢興譲館高校)
 元木 康長〔法政大学法学部法律学科〕  (長井高校)
 山田 渓介〔専修大学経営学部経営学科〕  (米沢興譲館高校)
○1年生
 佐藤 浩彰〔神奈川大学工学部機械工学科〕 (米沢東高校)
 島貫 翔伍〔明治大学商学部商学科〕 (八千代高校)
 高橋  心〔電気通信大学情報理工学部知能機械工学科〕 (米沢興譲館高校)
 富樫 史博〔日本大学文理学部地球システム学科〕 (基督教独立学園)
 山下 智昭〔中央大学商学部会計学科〕 (米沢興譲館高校)





消火訓練の様子



仙台興譲館

塩 田   紳
 夏が主役の座をまだまだ譲らず、秋の虫の声や木々の紅葉がいよいよ待ち達しくも、ここ数年にない猛暑続きに日本の四季の鮮やかさを改めて感じさせられる今日この頃、毎日早朝からギラギラと照りつける太陽は、我々の気持ちさえもカラッと晴らしてくれるようです。  ちょうど昨年の今頃は、120周年記念事業である寮改修工事の真っ最中でありました。可能な限り我々寮生の要望を取り入れて頂いた結果、長年の歴史が薫るくすんだ畳はフローリングヘと姿を変え、日焼けで色あせていた壁やカーテンは本来の色を取り戻しました。改修作業が進むにつれて、歴代の先輩方の思い出が詰まった床の傷や壁の穴が消えていくのは少し寂しくもありましたが、改修を終え1年が経った今では、そんな歴史を今度は自分達がここに少しずつ刻んでいくのだと、感謝の気持ちを抱くとともに妙な使命感に燃えてさえいるところです。  そんなリニューアルした寮の下に、今年度は新たに2名の新入寮生を迎え、総勢13名でスタートを切ることが出来ました。しかし、2人の新入寮生によって寮生の減少は免れたものの、減少傾向にある在寮生の問題は依然として深刻です。個人の尊重やプライバシーの保護が強調される昨今、恐らく一般的な寮生活に対する印象は数年前のものとは違ってきており、ネット社会の発展、拡大に伴う社会における人間関係の希薄化の影響などもあってか、大学生活を寮で過ごすという選択肢がなかなか選ばれにくくなっているのではないでしょうか。キャンパスライフヘの期待に胸躍らせている若者たちの中の「寮生活」とはさしずめ、ひとり暮らしとは違う、個人の自由が少なからず制約される、常に他人を意識しての窮屈な生活、といったところなのでしょう。確かに、私自身も持ち前の人見知りが手伝い、入寮にあたっては集団生活へ並々ならぬ不安を抱いていたことを今でも覚えていますし、時に寮全体が個人に優先されるというのも事実です。しかしながら、そんな不安の根源であり、寮が回避されがちになる要因である「集団生活」とは、ときに不自由な思いをしながらも、貴重な大学生活を常に刺激し合える仲間と共に過ごすことが出来る貴重な体験に他ならず、そうした時間を思い出として永遠に共有できる仲間を得られることこそが、寮生活における最大の利点だと思うのです。  いまだ現役生ながら私が強くこのように思うのには、少々個人的な理由があります。私の母校である南陽市立吉野中学校は、今年度より廃校となってしまいました。それはもちろん残念ではありましたが、形としての思い出がなくなる一方で、同窓会で久々に集まった仲間達との間で中学時代の話題は尽きることがなく、気付けば一夜を語り明かしていました。その時私は思ったのです。確かに学び舎はなくなってしまったけれど、そこでこの仲間達とともに文武に励み学んだこと、いや、他愛もない話で笑いあった時間でさえも、こうして何年後かに語りあえる仲間がいることで何より貴重な財産になるのだと。  そんな仲間をつくるのに、寮ほど適した環境はないのではないでしょうか。同じ釜の飯を食い、時に羽目を外してバカ騒ぎし、時に激しく意見をぶつけ合いながら共に高め合った仲間達との関係は、きっと永遠に変わることはないでしょう。同期生との思い出を語ってくださっている時の寮OBの先生方の、まるで学生時代に戻ったかのようなにこやかな表情が、私にそう確信させてくれるのです。  最後になりますが、そんなかけがえのない仲間とともに、新しく生まれ変わった寮の下で有意義な生活を送ることが出来るのも、甲仙台支部長、御供仙台興譲館館長をはじめ、多くの米沢有為会の皆様や、我々にとって「仙台の母」ともいえる寮母の小野寺さんのおかげであり、寮生一同感謝の気持ちでいっぱいです。今後もそんな感謝の気持ちを常に忘れず、互に切磋琢磨しながら各々の目標に向けて日々精進していきたいと思います。

○大学院生
 那須 譲治〔東北大学大学院理学研究科物理学専攻〕 (長井高校)
○4年生
 荒井 達矢〔東北学院大学経済学部〕 (米沢中央高校)
 島森 拓土〔東北大学理学部科学科〕 (米沢興譲館高校)
○3年生
 塩田  紳〔東北大学法学部〕 (山形東高校)
 島貫 洋平〔東北大学文学部人文社会学科〕 (長井高校)
 高橋  玄〔東北福祉大学総合福祉学部社会福祉学科〕 (日本大学山形高校)
 宮坂  匡〔東北学院大学経済学部〕 (米沢中央高校)
○2年生
 青木 謙人〔東北大学工学部材料科学総合学科〕 (米沢興譲館高校)
 安部 玄樹〔東北大学法学部〕 (米沢興譲館高校)
 佐藤 丈洋〔東北大学医学部保健学科放射線技術科学専攻〕 (長井高校)
 原田 学思〔東北大学工学部機械知能航空工学科〕 (米沢興譲館高校)
○1年生
 遠藤 季理〔東北大学経済学部〕 (米沢興譲館高校)
 太田 嵩人〔東北工業大学工学部知能エレクトロニクス学科〕 (米沢中央高校)


今年度の新入寮生面接



今年度の新歓コンパ