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米沢有為会会誌復刊50号(平成12年6月)
興譲館だより(平成12年、2000年)

東京興譲館

五十嵐 元
 東京では、あっという間に満開となった桜は、はやばやと散り、さわやかな新緑の候となりました。米沢で生活していた頃に比べ、冬から春への季節の変化がなかなか感じる事ができません。  そんな私たち寮生に、唯一春の訪れをつげるのが、御世話になった3人の先輩方の卒業と、新入生6名、新2年生1名の入寮でありました。先輩の方々には、今後社会に出てがんばっていただきたいと思います。又、多くの入寮生を迎える事ができ、大変うれしく思います。  さて、寮というものは、共同生活を行う場であり、一人暮しとは違い、多少の制約を受けることは確かです。その一方、住んでいる全ての人間が親しくなれるというのは、寮生活の最大の特長ではないでしょうか。  東京に限らず、アパートなどで一人暮しをしていると、何年も住んでいながら隣人の顔も知らない事がよくあります。お互いに過剰な遠慮をした生活をしなければなりません。しかし、寮では、そのような気兼ねはほとんどいりませんし、話し相手が欲しい時は、どこかの部屋に行けば必ず見知った誰かがいます。集団生活である以上、何でも好き勝手とはいきませんが、自由でありながら孤独を感じない生活。他ではなかなか経験できません。  当寮は、色々な大学に通う学生が生活しており、他大学の事情も比較的容易に知る事ができ、寮生活そのものが他大学との交流であります。ただ、大学が違うという事は、生活パターンも寮生一人一人によってかなりばらつきがあります。これをまとめていくためには、それなりに努力や工夫が必要となります。  具体的には、委員長・会計・庶務・文化厚生からなる委員会を中心に月1回舎生会を開き、生活環境の改善・寮内の問題解決を図ります。そして、全員が安心して、よりよい生活がおくれるようにしています。また、新入生歓迎コンパに代表される年数回のコンパでは、お酒を酌み交わしながら楽しく先輩・後輩・館長全員で様々な事を語り合ったりしています。  大学での勉強・部活動で自分を磨くのは当然ですが、東京興譲館という寮生活を通しても、全員で切磋琢磨し、今まで以上に飛躍できれば良いと思います。また、全員が他の仲間を気遣って生活し、自由で活気溢れる寮にしていきたいです。  有為会の皆様には、様々な援助を賜り、寮生一同大変感謝しております。ご期待に応えるべく、私たちは、自己形成のために、邁進していくつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。

 舎生
 ○4年生
  五十嵐 元(帝京大学文学部)
  宇佐美真人(駿河台大学文化情報部)
  加藤  真(東京経済大学経済学部)
  金田  健(一橋大学商学部)
  坂野 俊也(東京外国語大学外国語学部)
  白石 敏行(駿河台大学経済学部)
  丸山 隆行(早稲田大学政治経済学部)
  渡辺  哲(東京農業大学農学部)
 ○3年生
  香坂 洋平(東京農業大学応用生物学部)
 ○2年生
  赤間 敬太(明治大学文学部)
  小野島重幸(国学院大学経済学部)
  佐藤 貴之(法政大学経済学部)
  高木 和彦(拓殖大学商学部)
  高橋  聡(駒沢大学経済学部)
○1年生
  相田  寛(慶応義塾大学法学部)
  後藤  大(大正大学文学部)
  今野 滋夫(明治大学農学部)
  鈴木 勝士(専修大学商学部)
  鈴木 洋介(一橋大学社会学部)
  高橋 正人(千葉商科大学商経学部)

仙台興譲館



仙台興譲館寮長 加 藤 法 弘

 新寮長になって未だ1か月たらず、一番最初に飛び込んで来た仕事が米沢有為会々誌の原稿執筆依頼、私のような若輩者に何か書けるのだろうと思いつつ、いざ原稿用紙に向かったのはいいが、しょせん何の学もない私の頭では当然いい文句が思い浮かばない。そんな時は先人に学ぶのが一番、と本棚へ手を伸ばし、そこから昨年の米沢有為会々誌を取り出しパラパラとめくっていったら、唖然、一番先頭に名を連ねているのが何と日本の内閣総理大臣、その次もその次もページをめくるごとに各界を代表するような錚々たる人たちが名を連ねているではありませんか。それだけではなく、文章の内容も素晴らしく、形式も格調高い。先輩方の文章のように素晴らしく、しかも格調高い文章を書こうなんて考えた自分がばかでした。私のような一介の学生、しかも、ただ本が好きなだけの名ばかりの文学部生には、到底真似のできない代物なのでありました。こうなったら仕方ない。先輩方の文章を真似したところで、それは猿まねにすぎないのだから、自分の言葉で思っていることを素直に書こうと思い、こうして筆をとっているのであります。生憎、米沢有為会々誌に載せて頂ける程の文章力はもちあわせておりませんが、精一杯、書かせて頂きたく思っております。  さて、今年の仙台興譲館、6名の方が退寮なされ、2年ぶりに新1年生が1名入寮してまいりました。その名は渡部秀幸。お酒が好きというナイスガイであります。昨年は6名が 退寮、そして今年も6名が退寮し、さらに来年の3月には4、5名の方が退寮するという状況になっており、あと3、4年もすれば誰もいなくなってしまうのではないかと心配しているところです。しかし、よい知らせも1つ。今年は新入寮生、渡部君の他に3年生を2人迎えることになっております。しかも2人とも出身は長井高等学校なのです。今まで仙台興譲館に入寮する人はだいたいが興譲館高校を卒業した人だったので、興譲館高校卒業生以外の入寮者を迎えられることを大変喜んでおります。このようにして置賜全般の高校からこの仙台興譲館に入寮するようになれば、「寮生減少」という深刻な問題も解決できると思います。  あと、この紙面をお借りして申し上げたいことが1つあります。現在、在寮している寮生は14名ですが、以前と違い全員が学校に行くようになりました。学校に行くことは当然だろうと言う人もいるかもしれませんが、この寮ではその当然のことができなかったのです。徹夜で麻雀、徹夜で酒宴が普通でした。この寮の評判は、はっきり言って最悪なのです。前述の渡部君からこんなことを聞きました。渡部君自身がこの寮に入ると友達に言ったところ、友達がこう言ったそうです。「あの寮に入ると卒業できなくなるのでやめた方がよい。」と。確かにこの寮はそういう側面を以前はもっていました。おそらく皆さんが学生寮に対して抱くイメージそれ自体も決してよいものではないはずです。しかし、それはあくまで1つの側面なのであって寮に対するイメージ全体を構成する要素にはなりえないのです。1つの側面にこだわりすぎて全体を見ないのでは、その物の本質を見抜くことはできません。一部の学生が作りあげた寮に対する悪いイメージをそのまま寮全体のイメージとして捉えることは、この寮をでて社会で立派に活躍しておられる方々を侮辱することになりかねないのです。今私たちは、寮のイメージを刷新しようと頑張っています。どうか皆様には色眼鏡で見ることなく、くもりなき眼で新生・仙台興譲館を見て頂きたく思っております。そして我々も110年の伝統を誇る米沢有為会の名に恥じないよう、一生懸命頑張っていきます。  最後に寮生全員を紹介し、終わりたいと思います。

大学院 武田  明(東北大学・工学部・修士課程2年)
    柴田 勝弘(東北大学・工学部・修士課程2年)
4年生 今井 良宗(東北大学・工学部)
    佐藤  実(東北大学・経済学部)
    高橋 義洋(東北大学・工学部)
    増田 大輔(東北大学・工学部)
    四釜 淳悟(東北大学・理学部)
    丹野 真敬(東北大学・工学部)
3年生 莅戸 三郎(東北大学・工学部)
    加藤 法弘(東北大学・文学部)
    小林 匡洋(東北大学・医学部)
1年生 渡部 秀幸(東北大学・工学部)