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米沢有為会会誌復刊48号(平成10年6月)
興譲館だより(平成10年、1998)

東京興譲館

 今年の冬は雪の日が多く、また、そのことごとくが大雪になるという、東京としてはかなり厳しいものでした。特に1月、2月は交通機関が大混乱するほどの大雪が数回 あり、寮生の中にもこの大雪で学校帰りに足止めされた者が結構いたようです。積雪15センチで交通機関が麻庫してしまうなどというのは、米沢で生まれ育ってきた私には、いささか情けなくも感じられるのですが、これだけ雪の日が多いと、春を迎える喜びもまた一段と大きなものとなります。  そしてもう1つ、冬から春への移り変わりを感じさせるものが、別れと出会い。今年は2名の先輩がこの寮を巣立たれ、また、25年もの間我々のお世話をしていただいた寮母さんの高橋さんがおやめになりました。そして、4名の新入生が入寮し、新しい寮母さんとして蓼沼さんをお迎えしました。蓼沼さんには大学生のお子さんがおられますので、私たち寮生のこともすんなりと理解していただけるのではないかと期待しています。  当寮は寮生の生活スペースとして24室の寮室があるのですが、これで満室となり、今年度は、とてもにぎやかな寮生活になるのではないかと思っています。住んでいる人間が全て親しい友人であるというのは、寮生活の大きな特徴といえるでしょう。  東京に限らず、アパートなどで一人暮らしをしていると、何年も住んでいながら隣の人の顔も分からないというようなことがよくあり、お互いに過剰な遠慮をした生活をしなければならなかったりしますが、寮ではその様な気兼ねはほとんどいりませんし、話し相手が欲しいときにも、どこかの部屋に行けば必ず見知った誰かがいます。集団生活である以上、何でも好き勝手に出来るというものではありませんが、自由でありながら孤独を感じない生活。他ではなかなか経験できないのではないでしょうか。  当寮は色々な大学に通う学生が生活しており、他大学の事も比較的容易に知ることができ、寮生活そのものが他大生との交流の場であるともいえます。ただ、大学が違うという事は、生活パターンも寮生一人一人によってかなりばらつきがでるということでもあり、これをまとめて寮を成り立たせていくためには、それなりの努力や工夫が必要となります。そのために、内部の運営のほとんどは委員長、会計、文化厚生、庶務、広報からなる学生委員会を中心に行っており、月に一度行われる舎生会と呼ばれる会議で、寮生からの要望を聞いたり、運営状況の報告や問題解決のための話し合いをしたりしています。  寮生の親交を深めるためのコンパも年に数回行われています。大学生ともなると、お酒を飲む機会も数多いとは思いますが、寮でのコンパは一番安心して飲める席だと思います。酔っぱらって歩けなくなっても部屋まで引きずって行ってもらえますし、気分が悪くなった後のアフターケアもしてもらえます。つまり、終わった後のことなど考えずに思いっ切り飲むことが出来るわけです。あくまで楽しく飲むことが前提ですが、自分の限界を探るのにもいい機会であるといえるでしょう。  大学生活の4年間は、学問以外にも学ぶことの多いものであると思います。寮生活は確実にその一部を担うものでありますし、ここで得たものは、社会に出てからも大いに役に立つことでしょう。  私達にこのすばらしい場を与えて下さった米沢有為会の皆様には、大変感謝しております。また、私たち寮生は皆様のご期待にお応えするべく、努力していきたいと思いますので、今後とも、ご支援の程よろしくお願いいたします。  最後に、寮生を紹介して締めくくりたいと思います。
                         (文責 加藤 紀一)
○4年生
  梅津 幸輝(大正大学文学部)
  加藤 紀一(専修大学経営学部)
  後藤 喜彦(法政大学経営学部)
  武田 洋一(國學院大学経済学部)
  中村 智和(亜細亜大学経済学部)
  眞島 秀和(国士館大学法学部)
  山木 哲郎(駒澤大学文学部)
○3年生
  有路  正(青山学院大学経済学部)
  市川 武志(亜細亜大学経済学部)
  高橋 陽平(大正大学文学部)
  堤  道永(電気通信大学電気通信学部)
  星  優介(学習院大学経済学部)
○2年生
  五十嵐 元(帝京大学文学部)
  宇佐美直人(駿河台大学文化情報学部)
  遠藤 健治(専修大学商学部)
  加藤  真(東京経済大学経済学部)
  金田  健(一橋大学商学部)
  坂野 俊也(東京外国語大学外国語学部)
  白石 敏行(駿河台大学経済学部)
  半田 真也(青山学院大学文学部)
  丸山 隆行(早稲田大学政治経済学部)
  渡辺  哲(東京農業大学農学部)
○1年生
  香坂 洋平(東京農業大学応用生物学部)
  寒河江 裕(東京外国語大学外国語学部)
  佐藤 美洋(専修大学経済学部)
  鈴木 克哉(横浜国立大学経済学部)
                            
歓迎コンパ風景

歓迎コンパ風景





仙台興譲館


 今年の仙台は例年になく大雪に見舞われた冬でしたが、その冬も過ぎ、4月に入ってからは温かい日が続いています。仙台の桜も、咲いたかと思えば瞬く間に散ってしまい、もう夏が来ているかのような陽気です。  さて春は出会いと別れの季節です。今年は8名と例年になく多くの先輩方が退寮されて寮の運営が心配されましたが、新入寮生を5名迎えることができ、寮生全体で20名となりました。どうやら寮費アップなどの問題はなくなりそうです。この新寮生5名に関しては、毎年のように行われている歓迎行事(花見、新歓コンパ)を経て、早くも寮生活に慣れたようです。ただ、あまり慣れすぎて講義をさぼったり、遊びに夢中で他のことが目に入らなくなる、なんてことがないように気をつけてもらいたいものです。実際、大学生活は時間的余裕ができたり、寮生活では楽しいことが山程あります。 しかし、先輩達の悪いところは見習わずに、学校へは行きましょう(これは他の寮生にも言えることですが)。  寮とは共同で生活を行っていく場であり、一人暮らしとは違って多少の制約を受けることは確かです。我々が生活している仙台興譲館も、自治寮という性格上その様な面が特に感じられます。しかし寮でしか学べないこと、寮でしかできないこともあります。既に寮を巣立っていった先輩方も、この寮の素晴らしさを熱く語ってくれました。特に私の印象に残っているものとして、4月から就職が決まっていたある先輩の言葉があります。「俺、あと3年ぐらい寮に居てもいいなあ。」この言葉を聞いて、私は改めて寮の素晴らしさ、利点、居心地のよさを実感しました。  現在、寮長、会計、厚生、娯楽、食事、電話、防災という係りを寮生で分担して行っており、定期的に行われる寮生総会で意見を出し合ったり、要望を取り入れたりしてよりよい生活環境を形成することに努めています。このように自治寮においては、一人一人が責任と自覚を持って行動しなければなりません。寮母さんに頼ってばかりではいられない訳で、寮生全員がこの寮の一員であるという自覚を持ち、協力してよりよい仙台興譲館にしていけたらなぁ、と思う今日この頃です。  さて、寮母さんのことですが、昨年後期より新しい寮母さんになりました。20年間仙台興譲館の寮母さんとして働いていただいた山崎さんに変わり、森良子さんが寮母さんになって下さいました。ここで、少し紹介しておこうと思います。  森さんは青葉区小松島に家庭があり、旦那さんと、酒田に住む一人息子がいます。現在62歳です。この寮に来る前は、東北大学農学部の学生食堂で働いていました。それだけに寮の食事も大変おいしくて、寮生にとても好評です。  世間に目を向けてみると、興譲館寮のような寮は次第に少なくなっているようです。炊夫(婦)さんが解雇されたり、部屋・生活費の個別化が推進されている寮も少なくありません。こうして考えてみると、我々の寮はまだ良い方かもしれません。しかし、今後の寮母さんや寮生数などの問題も抱えています。これらは常に考えていくべき問題です。 こうした問題はありますが、寮生活は快適かつ円滑に進んでいます。先輩後輩の上下もありませんし(全くないのも困りますが)、皆個性的で面白い人ばかりです。OBの方も気軽に遊びに来ますし、寮内行事も4月の花見、新歓コンパに始まり、年2回の合同コンパ、ボーリング大会、忘年会、新年会(追コン)、温泉旅行など目白押しです。こうした寮生活で得た経験は社会に出ても必ず役立つことでしょう。  それでは最後に寮生全員を紹介して、仙台からの便りとさせていただきたいと思います。
仙台興譲館寮長 星 野 勝 幸
宍戸 貴雄(東北大学・薬・D2)
     星野 広和(東北大学・経・M2)
     長谷川 智(東北大学・工・M1)
○4年生 佐々木 智(東北大学・農・4年)
     伊藤 尊史(東北大学・理・4年)
     菅野 修一(東北大学・経・4年)
     梅津 卓哉(東北大学・経・4年)
     武田  明(東北大学・工・4年)
○3年生 星野 勝幸(東北大学・経・3年)
     莅戸 三郎(東北大学・工・3年)
○2年生 今井 良宗(東北大学・工・2年)
     増田 大輔(東北大学・工・2年)
     佐藤  実(東北大学・経・2年)
     佐藤 紀孝(仙台大学・体・2年)
     高橋 義洋(東北大学・工・2年)
○1年生 玉虫 良明(東北大学・理・1年)
     豊原  亮(東北大学・文・1年)
     加藤 法弘(東北大学・文・1年)
     中村 俊則(東北大学・工・1年)
     小林 匡洋(東北大学・医・1年)
                   以上 20名