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米沢有為会会誌復刊40号(平成2年6月)
興譲館だより(平成2年、1990年)

東京興譲館

「桜は何処へ」と思わせるように、早々に春が過ぎて、初夏の陽射しが感じられる今日この頃であります。  今春、5名の方が卒業されました。寂しさもつかの間で、10名の新入生が入寮されてきて、今まで以上に活気づいてまいりました。我々在寮生は、卒業生の社会でのご活躍を願い、また新入生には、一日も早く寮生活に馴じんでもらい、共に学生生活を有意義なものにしていきたいと思います。  さて、昨年の国際情勢は、ペレストロイカやベルリンの壁崩壊などまさしく激変の年でありました。また、当寮においても激動の年ではないかと思われます。高橋前館長が、桑島館長に引き継がれた直後に、亡くなられたことは、誠に遺憾でありました。寮生全員が充実した学生生活を送ることが、御供養になると思い、日々切磋琢磨し合っていきたいと思います。  つきましては、新しく桑島館長と鈴木副館長が就任されました。昨年は米沢有為会百周年であるということで、当寮の大規模な改修工事が行われました。その際、私が委員長の時に館長、副館長が我々でも気づかなかった寮の衛生や安全面での御指摘を強く有為会の方に働きかけて頂き大変感謝しております。そのお陰で、当寮は生まれ変わり寮生も大変満足しています。御寄付頂きました有為会の会員の方々には、大変有難く思い、この紙面をかりて感謝の意を申し上げます。  さて、寮生活におきましては、最近でこそ、入寮生が多いのですが、以前の少ない時期には、どうしたら寮に魅力を感じるかということを考えました。昔のような先輩後輩の厳しい上下関係のある寮をやめて特に若い人には興味ある事を心おきなくできるような個人の尊重を重んじるようになってから寮生活も大変変わってきたと思います。  そして、館長、副館長さんは御高齢とは思えないくらい精力的なので寮生が圧倒されるくらいであります。  また、有為会にはまことに恐縮ですが、寮生と有為会との交流が少ないため、寮生で有為会に親しみを感じやすく思っている者は数少なく思います。せっかく郷里からすばらしい方々がいらっしゃるのに我々社会人予備軍がその方々から得るものは多大にあると思われるのにその機会が少ないというのは大変残念に思います。  改修された当寮へ近くを通りの際は、是非一度御来寮して頂き、いまの学生というものがどんなものであるかご理解して頂きたいと思います。  最後に有為会と当寮の発展と繁栄を願いまして寮生を紹介して終わりたいと思います。
4年次生以上
   大滝 泰浩(東京学芸大・特別教育)
   大武 智治(早稲田大・教育)
   小関 吉昭(早稲田大・商)
   高野  徹(中央大・理工)
3年次生
   梅津 正和(電気通信大・電気通信)
   川井 幸樹(東京都立大・法)
   多勢  俊(成城大・経済)
   高橋  啓(駒沢大・経済)
2年次生
   安部  拓(専修大・経済)
   佐藤 良喜(産業能率短大・経営)
   堤  純二(駒沢大・文)
1年次生
   安部 寿一(国士館大・政経)
   粟野 道広(東洋公衆学院・臨床検査技師)
   伊藤 典一(東京モード学園・ベーシック)
   小方 康至(東京大・理Ⅱ)
   数間 光博(帝京大・文)
   金  燦琇(中央大・経済)
   楠川 修平(明治大・農)
   小関  治(電気通信大・電気通信)
   島津 克之(国士館・経済)
   田畑 仁志(帝京大・経済)
   平  和明(大原簿記専門学校・経理本科)
   種部  守(東京電気短大・電気)
   千葉 直紀(電気通信大・電気通信)
   野呂 圭司(公務員専門学校)




仙台興譲館


 平成の時代もようやく一巡りして、仙台にも桜の季節が訪れました。今年の仙台は例年にない暖かい冬で、3月などは氷点下の日数が観測史上最も少なく、オーバーなどを着ていては汗ばんでしまうような日もありました。今年の冬将軍はちょっとばかり怠慢なようでした。  春を迎え、この仙台興譲館寮にも新しく4名の新入寮生がやってまいりました。例年よりも早い桜の訪れに、彼らは花見の席では、もう浴びながら飲むことを覚えてしまったようで、貴重な学生生活の思い出の一つが出来たようでした。でもこれで彼らも寮の一員となり、今後の寮生活をうまくやっていくものと思います。  ところで、最近「NOと言えない日本人」という言葉をよく耳にします。日本人は他の人から物事を頼まれたとき、その人に対して何か悪いということで、うまく断わることができず、あいまいな返事をしてしまいがちです。しかしこの心理の中には、その人に対してすまないというよりも、自分は悪く思われたくないという心があるとき、それは自分自身で守るための手段となっているのかもしれません。  寮という中では、周りに合わせるということは大切なことで、これは今後のまた新しい人間関係において役立っていくものの一つだと思われます。けれどもこれが度を過ぎると、 かえって周囲に流され自分の意志を失い、学業を怠ったり生活が乱れてしまったりする原因となってしまいます。大切なのは周囲に合わせることと、自分を律していくこととのバランスであって、時にはNOと言うことができなければなりません。私達はせっかく寮といういろいろな人間関係の中に住んでいるのですから、このようなことは身につけていても損はないと思います。  さて、今年の仙台興譲館は年々減る傾向にあった寮生の数がついに20名を下回るという事態になり、寮の経済状態、運営などますます苦しい状況となってしまいました。仙台では3年ほど前に新築していただきまして、昔の老巧化していた寮と比べても快適に暮らせるようになりました。けれどもすべての経費を寮生によって賄っている当寮では、寮生が減った分の寮費の上昇はあまりにも激しく、今後も寮として成り立っていくのには不安があります。また、仙台では数年前、多くの寮生が通学していました私立大学が郊外へ移転し、最近は他の大学や短大への男子学生の進学者は少なく、ついに今年度の在寮生はすべて東北大学生だけで占められるようになりました。このような偏った入寮状況では大学の学寮と何の変わりもなく、この仙台興譲館の特徴というものが生かされないように思われます。今後は入寮資格の枠を広げ、さまざまな学生が入り乱れる活発な寮となってくれればと願っております。  では、今後も仙台興譲館寮生は勉学、寮生活においてより一層努力していきますので、米沢有為会の皆様方、どうかよろしく見守り下さい。最後に寮生を紹介します。
4年次以上
  阿部 真二(東北大・工・大学院)
  亀岡 祐一(東北大・医)
  結城 康弘(東北大・工・大学院)
  佐藤 敏一(東北大・工・大学院)
3年次生
  上村 弘之(東北大・工)
  芳賀 敏明(東北大・経済)
2年次生
  黒田 英昭(東北大・文)
  酒井 俊英(東北大・理)
  鈴木 正明(東北大・法)
  二瓶 久志(東北大・法)
  松浦 琢史(東北大・法)
  渡部 直樹(東北大・経済)
1年次生
  星野  剛(東北大・理)
  佐藤 大輔(東北大・工)
  黒田  誠(東北大・経済)
  皆川 武司(東北大・経済)
    (文責 上村 弘之)