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米沢有為会会誌復刊35号(昭和61年6月)
興譲館だより(昭和61年、1986年)

東京興譲館

 暦の上では4月。しかし、何処となくまだ膚寒く、冬物の着物をしまうのを迷ってしまう今日このごろです。本格的な春の到来までいま一歩といったところでしょうか。会誌が発行されるころには、もう本格的な春です。  今年は、新人生4名と4年生1名、合わせて5名の新寮生を迎えることができました。ここ2年間ほど、入寮希望者が多かったのですが、今年は少なく寂しい気がします。今年は、多数の卒業生を送り出し、多数の新入生を期待していた委員会は、少々ショックを受けているようです。  最近、先輩や寮のOBの方から、寮の体質が変わってきたと聞かされています。最近は舎生会等でも活発な討論がなかなか見られず、ちょっと不安な感じがあります。コンパの中身も変わってきているとも言われます。寮生が変わっているのですから、当然のことといえば当然なのですが、寮生活のどこにでもいいですから、個性を出す必要があると思われます。そうすれば新たな寮生活の意義が生まれて来るのではないでしょうか。  さて、話は変りますが、4月6日、お天気祭りが行われました。これは、新入生と在寮生の顔合せを兼ね、寮の行事の一つである新入生歓迎マラソンの期間の晴・Vを願うコンパです。私たちの願いが天に通じたのか、晴天が続き、1、2年生は、毎朝成城の街並に若者の光った汗を流しています。我ながら、3年前のことを思い出す次第であります。これから新歓コンパ等を通して、新寮生の諸君は徐々に溶け込んで行くと思いますが、彼等がどのように自分の生活を組みたててゆくか、大変興味があるところです。周囲に左右されずに自分の目標を貫徹するような生活を送って欲しいと思います。これは、新入生のみならず在寮生にも言えることで、寮生各々が熟考しなければならないことです。  新寮生諸君の顔を見ていると、自分の入寮当時の頃を思い出します。彼等が一日も早くこの寮に馴れ、有意義な日々を過ごせるように在寮生は心掛けなければなりません。今年1年間の寮生活が、寮生全員にとって有意義なものであることを期待しています。  最後に寮生を紹介します。
4年次生以上
  土屋  稔(東京都立大・大学院)
  相田 正史(帝京大・経済・経済)
  浅野 博行(明治大・法・法)
  黒田 雅人(東京農業大・農・林学)
  船山  恒(東京学芸大・教育・初等数学)
  堀越 秀和(中央大・経・経)
  城  和彦(駒沢大・経・経)
3年次生
  大滝 泰浩(東京学芸大・特別教育・美術)
  片山 洋行(国士館大・工・建築)
  近野 広行(東京農工大・農)
  佐藤 達也(東京工業大・4類)
  高橋  徳(国学院大・文・神道)
  林崎 直幸(法政大・経・商)
  宮本 秀行(高千穂商大・商・商)
2年次生
  木村 栄司(早稲田大・社会)
  小関  敦(明治大・農・農)
  佐藤 智由(日本獣医蓄産大・獣医蓄産)
  多田 利幸(東京農工大・農)
  永井 啓順(東京農業大・農・栄養学)
  南  貢市(早稲田大・社会)
  渡辺 武司(明治大・商Ⅱ)
1年次生
  大武 智治(早稲田大・教・教育心理)
  小関 吉昭(早稲田大・商・商)
  堤   敦(国学院大・文・文Ⅱ)
  星  良治(明治大・文・英米文)
                   (船山 恒記)



仙台興譲館


 風は、吹くたびごとに春を運んできます。広瀬川の水も温み、冬の間群をな・オて餌をついばんでいた水鳥たちも、北へと帰って行きました。街を行く人々も枯葉色の装いを脱ぎ捨て、色とりどりの春の服を着て閥歩する様子はまさに花畑です。私たち仙台興譲館におきましても7名の新入寮生を迎え、気分を新たに、新年度の生活を迎えています。  昨年、今年度と多数の寮生を迎え、当寮は28名の大世帯となりました。部屋替え、新入寮生の迎え入れ、新学期の準備等慌ただしい日が続いていますが、2回生以上の者は早く落ち着きをとりもどし、先輩たちの築いて下さった良き伝統を守り、新たに創造し、後輩に伝承できるよう気を引き締めて、余裕のある生活態度を示したいものです。  さて、これから、お花見、新入生歓迎コンパ、在仙コンパと新入生歓迎の行事がいろいろあり楽しみです。普段は緊張して、借りてきた猫のように大人しくしている新入生もお酒が入ると変るものです。十人十色とは良く言ったもので、酔い方も人によって様々なのですが、お酒の席での性格がその人の本当の性格であると決めつけられがちなので気をつけましょう(?)。こうした行事の中での皆とのコミュニケーションを通して寮全体が徐々にまとまって行くのです。  寮は「食べて」「寝る」だけの場所ではありません。一つの小さな「社会」、所謂一つの「村落共同体」とも言えるでしょう。そこでは人と人とのコミュニケーションが重要な役割を果たします。人を理解し、自分を理解してもらうためには、腹を割って人と対話をしていかねばなりません。  ところで、有為会会員の皆様に私たちからお願いがあります。それは当寮の建て替えであります。  当寮はこの数年、寮棟の老朽化が著しく、昨年も屋根の修理等をして頂きましたが、寮生としては真に心細い限りであります。再建の案もあるや に聞いてはおりますが、実際に寮生活を営み、そこで暮している私たちにとって、またこれから入って来る後輩にとっても、できるだけ早い機会に再建案がきまることを望んでいる次第です。  過去、仙台興譲館は有為会の暖かいご援助のもとに、数多くの秀れた先輩を育くんだと聞いております。私たちもご厚意に報いるべく、勉強に運動にがんばります。ぜひ、寮再建を考慮下さいますようお願いいたします。 最後に寮生を紹介いたします。
4年次生以上
   松本 則夫(東北大・工・大学院)
   佐々木博之(東北大・文)
   青柳 哲郎(東北大・法)
   渡部  修(東北大・纓テ技術短期大学)
   高橋  忍(東北大・工)
   木村 浩二(東北学院大・文)
   高橋 文和(東北学院大・経済)
   菊池  彰(東北大・工)
   佐藤 一彦(東北大・工)
 3年次生
   加藤富士雄(東北学院大・法)
   竹田 利昭(東北福祉大・社福)
   武田 政幸(東北大・工)
2年次生
   阿部 真二(東北大・工)
   石井 智浩(東北大・医)
   亀岡 祐一(東北大・医)
   結城 康弘(東北大・工)
   手塚 和人(東北大・工)
   小笠原 均(東北大・工)
   神保 朋之(東北大・文)
   高橋 英樹(東北学院大・経済)
   土田 裕一(東北学院大・文)
1年次生
   奥山 浩志(東北大・文)
   佐藤 敏一(東北大・工)
   米 龍太郎(東北大・法)
   安彦 賢一(東北大・経済)
   倉嶋  尚(東北大・経済)
   宮本 顕仁(東北学院大・経済)
   半田 俊一(東北学院大・文)
                   (亀岡祐一記)



札幌興譲館

 あと数日で入学式だというのに、なんでこんなに雪が降るのだろう。今春、6名の卒業生を送り出し、やや寮内が寂しくなったのも束の間、3名の山形健児を迎えることになりました、希望に胸をふくらませる新入生を迎えたのは、春のうららかな陽射しではなく、吹きすさぶ雪。「とんでもない所へ来たものだ」と彼等も思ったでしょう。何年か前、僕等も思ったように。でも恐れることなかれ。この厳しい自然が君等にフロンティア精神を与えてくれるのだから。「北海道の学生はどこか雰囲気が違う」と言われることもあります。フロンティア精神が生まれ、1年後、あるいは2年後、新入生もそう言われるようになって貰いたいものです。  先日、雪融け間もない寮の玄関の前で、新入生に北大寮歌の指導を行なうことになりました。企画及び指導は寮内きってのバンカラかつ最長老のNさん。薪をくべ、篝火をたき、そのまわりを寮生が囲む。校歌「永遠の幸」、北大寮歌「都ぞ弥生」他数曲を、150万札幌市民にも聴かせるべく大声で歌いまくりました。  宴もたけなわ、Nさんが新入生を迎えた喜びからか、本人が無事4年生になった喜びからか、突然、ガクラン、シャツやTシャツまで脱いで火にくべはじめました。上半身裸になったNさんの広いヒタイが赤く輝いていたのが、大変印象的でした。Nさんが、そのガクランのポケットに8500円の大金を入れていたのに気が付いたのは、実に数時間後でありました。T君が残り火をかきまわして、硬貨の500円玉を発見したのは、実に翌朝でありました。  かくて新入生を迎え、新年度が始まりました。今年は4年生が6名います。なぜか、全員長男ですが、地元に帰るつもりの人は一人だけです。しかし、皆、心の中で郷里を思っているようです。話せばすぐ判ります。今年度は、寮生も12人とやや少なく、寮内も寂しくなるかと思われましたが、なかなかそうでもないようです。よく学び、よく遊び、クラブ、サークル活動を力一杯やる寮でありたいものです。  今後とも、有為会の皆様のご指導を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。  最後に本年度寮生を紹介いたします。
 4年生
   沼沢 広宣(北大農学部)
   長谷部 誠(北大工学部)
   高嶋  進(北大法学部)
   菅野  勉(北大農学部)
   前田 陽一(北大工学部)
   安達 邦明(北大農学部)
 2年生
   遠藤  桂(北大教養部)
   滝沢 真毅(北大教養部)
   小林 幸彦(北大教養部)
 1年生
   橋本 弘樹(北大教養部)
   近藤 敏樹(北大教養部)
   高橋 博一(北大教養部)
                      (菅野 勉記)