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米沢有為会会誌復刊33号(昭和59年6月)
興譲館だより(昭和59年、1984年)

東京興譲館

 本格的な春の到来までいま一歩、といった感じの今日このごろです。桜の開花状況もあまりかんばしくありません。この膚寒さが、直接的な影響を及ぼしているのでしょうか。何はともあれ、一日も早く本格的な春が来て欲しいものだと思います。  今年は10名の新寮生を迎えることができました。ここ2、3年、入寮希望者が減少していたので、我々在寮生は非常に喜んでいる次第です。正式な顔合わせはまだ終っていません。そのせいか、寮生と新寮生の間は、いま一つしっくりいっていないというのが正直な感想です。新寮生の諸君には、早く寮生活のなんたるかを知って欲しいと思います。一方、我々在寮生は、上級生としての責任を自覚し、彼等と共に充実した寮生活を作り上げねばなりません。  寮全体の行事として、まず新入生歓迎マラソンが行なわれます。これを経て、新寮生の諸君は徐々に寮生活のサイクルにとけ込んで行くようです。彼等がこれから、寮において、どのように自分の生活を組み立ててゆくか、我々在寮生には非常に興味あるところです。寮生活は下宿生活とは異なります。下宿生活にはないプラス、マイナスが沢山あります。それらを如何にして消化してゆくか。これは彼等のみならず、我々も真剣に取り組まねばならない課題といえましょう。新年度の始まりのこの時期、これから一年間の自己の寮生活をどのようにいとなんでいくか。寮生一人一人が熟考すべき大切な問題です。  新寮生諸君の顔を見るにつけ、入寮当時の頃を思い出します。彼等が一日も早くこの寮に慣れ、有意義な日々を過ごせるよう我々は心がけねばなりません。今年一年間の寮生活が、彼らも含め寮生全員にとって有意義なものになることを切に願ってやみません。月並みですが、新年度開始にあたって、こういう事を考えることは、絶対に必要だと思います。最後に寮生を紹介させていただきます。
4年次生以上
  青木 徳隆(東京理科大、大学院物理学科2年)
  稲村  修(神奈川大学経済学部卒・東京アカウンティングセンター在学)
  森 綱一郎(早稲田大学第二文学部卒・同大学教育学部聴講生)
4年次生
  伊藤 晴男(高千穂商科大・商・商)
  今井 敏博(高千穂商科大・商・商)
  菅野 亮一(専修大・経済・経済)
  干葉 尚雄(東京薬科大・薬学)
  横山 明宏(成蹊大・経済・経済)
3年次生
  加川 雅人(東京学芸大・教育・A類理科)
  須藤 康雄(電気通信大・電気通信・通信工)
  鈴木 邦昭(明治大・政経・経済)
  鈴木 亮一(電気通信大・電気通信・計算機科)
  土屋  稔(東京都立大・工・工業化学)
  渡部 博幸(明治大・農・農)
2年次生
  相田 正史(帝京大・経済・経済)
  浅野 博行(明治大・法・法)
  黒田 雅人(東京農業大・農・林学)
  鈴木 浩明(電気通信大・電気通信・物理工学)
  船山  恒(東京学芸大・教育・初等教育)
  堀越 秀和(中央大・経・経)
 1年次生
  有路 光一(東洋・経営・経営)
  大滝 泰浩(東京学芸大・特別教育・美術)
  片山 洋行(国士館大・工・建築)
  近野 広行(東京農工大・農)
  斎藤 政美(東京農業短大・農)
  佐藤 達也(東京工業大・4類)
  高橋  徳(国学院大・文・神道)
  林崎 直幸(法政大・経・商)
  宮本 秀行(高千穂商大・商・商)

仙台興譲館


 青葉の都、仙台の街を流れる広瀬川のほとりに我が仙台興譲館寮はあります。近くには東北大のキャンパスや県立美術館等があり、環境は最高です。  現在、寮生は新入寮生も含めて20人で、東北大、東北学院大、東北工業大、東北福祉大などで日々勉学にいそしんでおります。  仙台は学生の街と言われる程、学生の数は多いのですが、それらの学生の求める施設は図書館などをはじめとして、そろっており、まさに学都の名に恥じない恵まれた環境の中で勉強できることを我々は光栄に思っています。  この度、新入寮生を迎え、寮内は気分も新たに、毎日の寮生活を満喫しています。これから、4、5月にかけては、花見コンパ、新歓コンパ、在仙コンパ、合ハイなど、行事が目白押しです。また、町内の行事にも積極的に参加し、地域の方々との交流も深めています昨年は、今まで慣習的に決められていた寮則をはっきりと明文化するなど、寮生総会での討論も活発で、学生自身の自治寮としても、益々充実してきました。  ただ一つ問題なのは、寮の老朽化ということです。新館、旧館と二棟あるのですが、旧館のほうの傷みが著しく、また、全館の電気系の老朽化も目立ってきました。現在問題があるとすれば、このぐらいなもので、それも今すぐという程の重大なことでもなく、毎日快適に過ごしています。  寮に縛られすぎることなく、学校の友人達、他の学校の人達や、地域の方々との交流を深め、しかしながらあくまでも寮生であるという認識のもとに行動する、そして最も重要な、我々学生の本分たる勉学に励むというのが、現在の我が仙台興譲館寮生の秘かに目指すところです。以上、青葉の学都、仙台より失礼致します。

札幌興譲館


 4月になってもなお、白いものをちらつかせ続けた冬も、ようやく遅れて来た春に席を譲って、北国・札幌から立ち去ったように思われます。ひと冬の間に積もった雪も、少しずつ春の日射しの中に溶けていっています。しかし、この季節は、ひと冬の間にけずりとられた車粉が宙に舞って、札幌が一番汚れて見える季節でもあります。しかし、ひと雨 ふた雨来て、新緑が街に萌える頃には、札幌もその美しい素顔を見せてくれることと思います。  さて、去る3月、当寮は1名ではありましたが、卒業生をお送りしました。その結果、本年度は、3年次生が最上級生ということになってしまいました。いささか心もとないとお考えになられる方もいらっしゃるかとは存じますが、先輩諸兄のお残しになられた美風を辱しめぬよう力を尽くしてゆきたいと、寮生一同考えております。つきましては、札幌その他にお住みになっていらっしゃる諸先輩方の御指導を、よろしくお願いしたい次第であります。  そもそも寮とは、人が生きてゆく上で重要な何かを、教えてくれる場ではないでしょうか。それは、まず 第一に、人と人が折れ合って共存してゆくという、社会生活の根本を学ぶことのできる、数少ない場の一つであると言えましょう。また、それは同時に、個性と個性をぶつけ合い、各人の精神をみがいてゆく場でもあり得ましょう。つまり、各人一人一人が、自分とは異なる人間として相手を承認し、学ぶべきところを受け入れてゆく場なのです。しかし、この理想は、到達するに難きものであるとも言えます。というのは、それは、一人一人が自分の心を曇りなく広げることによってしか可能ではないからです。しかしながら、この困難な目標に向かって進んでゆくことこそ、先輩諸兄の意にかなうものと信じ、新たに当寮に迎えることになった新1年次生共々、寮生一同 鋭意努力してゆく所存です。  先頃、有為会北海道支部長をなさっておられます登坂三夫氏に、全集を贈っていただきました。寮の対応が遅れてしまい、登坂氏には、たいへんに迷惑をおかけしてしまいましたが、寮生一同たいへんありがたいことと感謝しております。お贈りいただきました全集は、すぐれた精神を養い、豊かな教養を身につけてゆくための一助として、また、人格形成のための良き糧として利用してゆく所存です。  なお、4年間に渡って寮生がお世話になりました寮母・尾崎貞子さんが、今年度、退職なさることになりました。寮内のことを良く御存知になっておられ、寮生の良き相談相手になってくださった方だけに、たいへん残念な思いでおります。どうも長い間御苦労さまでした。最後になりましたが、本年度の寮生を紹介したいと思います。
 3年次生
   斎 藤 広 道(北大農学部)
   高 橋 正 人(北大法学部)
   大 泉 康 樹(北大法学部)
   稲 村 邦 彦(北大法学部)
   渡 辺 和 久(北大法学部)
   長谷部   誠(北大工学部)
 2年次生
   沼 沢 広 宣(北大教養部)
   高 嶋   進(北大教養部)
   管 野   勉(北大教養部)
   前 田 陽 一(北大教養部)
   吉 田   敦(北大教養部)
   安 達 邦 明(北大教養部)
 1年次生
   遠 藤   桂(北大教養部)
   滝 澤 真 毅(北大教養部)