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米沢有為会会誌復刊29号(昭和55年6月)
興譲館だより(昭和55年、1980年)

東京興譲館

 窓からながめる町並はもう春です。新緑が目にまぶしく感じられる今日このごろです。ここちよい春風とともに新寮生の元気な声が寮をつつみ、2月、3月と一時諸先輩の卒業や数名の退寮などで寂しかった寮も活気に満ちています。
 昨年は、石油の値上げをはじめとし、諸物価の値上りも著しく、学生生活も経済的に圧迫を受けてきました。しかし我が寮にあっては、内面的な充実を目指し、寮生相互の協力をもってがんばってきました。取り止めとなっていた旅行も、なんとか復活し、塩山、そして伊豆とみんなで出かけ、寮の中だけでは味わえない貴重な体験もつみました。寮祭においても、はじめての試みとして、四谷のホールを会場として盛大にダンスパーティーを行いました。寮のテニスコートにおいても、みんなの協力で一段ときれいに整地され、テニス用具もととのえ、伝統ある寮におけるテニスも活発になってきました。また大学の長期の休みを利用して寮内の風呂場の天井板の塗装、各階の廊下の床張りなど、、自分たちの手で実際に行いました。さらに、上級生を中心に法学、経済学など各分野の学習会なども自発的に行なわれ、学習意欲もたかまりをみせています。
 今年は米沢有為会の90周年記念事業の一環として、寮の大修理を行っていただけるようになり、寮生一同非常に感謝し喜んでおります。また今年も、昨年よりの物価の高騰により、舎費も5月より22,000円となり、寮生活も一段と厳しくなるかと思われます。しかし我々寮生は米沢有為会の諸先輩の御期待にそうべく寮生活においても、大学生活においても、お互いに助け合い、有意義な寮生活を送りたいと思います。                        
 それでは最後に寮生を紹介させていただきます。
4 年 生
 尾 形 良 雄 (東京経済大 経済)
 小 関 利 之 (法政大 経済)
 佐 藤 恵 次 (法政大 法 法律)
 土 屋   宏 (東京電機大 工 電機通信工学)
 山 口 耕一郎 (日本大 理工 薬学)
3 年 生
 今 井 康 広 (明治大 文 英米文学)
 岩 瀬 行 弘 (法政大 社会 応用経済)
 後 藤 義 之 (専修大 経済)
 近 野 富 裕 (東京農業大 農 栄養)
 佐 藤 芳 明 (立教大 法 法学)
 情 野   敏 (東京農業大 農 農芸化学)
2 年 生
 青 木 徳 隆 (東京理科大 理 物理)
 稲 村   修 (神奈川大 経済 経済)
 太 田 美 徳 (専修大 経済 経済)
 下 平 俊 之 (二松学舎大 文 中国文学)
 鈴 木 誠 吾 (神奈川大 法 法律)
 寺 瀬 隆 則 (亜細亜大 法 法律)
 吉 田 敏 浩 (法政大 工 土木工学)
1 年 生
 磯   俊 宏 (早稲田大 一文)
 黒 沢 浩 昭 (拓殖大 政経 経済)
 近 野 里 美 (専修大 経済 経済)
 桜 井 道 夫 (東海大 工 生産機械工学)
 島 貫 和 浩 (法政大 経営 経営)
 田 中 昭 夫 (神奈川大 法 法律)
 千 葉 尚 夫 (東京薬科大 薬)
 山 口   宏 (駒沢大学 経営 経営)


仙台興譲館


 ここ杜の都仙台は、4月にはいり段々と暖かさが増してきたと思ったら、ここ数日膚寒い日々が続き、今日突然雪がふりました。これは昭和31年以来24年ぶりの雪だそうです。この雪により再び冬に逆もどりしたような気分になり、寮生も「寒い、寒い」を連発し、しまいかけたこたつを引っぱりだす始末です。この寒さのため、北上してきた桜前線も花見コンパも延期せざるをえなくなりました。しかしこのぐずついた天気も長続きはしないだろうと思い、早く桜が咲くようにと思っている今日この頃です。
 さて、このような季節に新入寮生が9人入寮いたしました。昨年度は、4人の先輩方が卒業していかれ、寂しさはつのるばかりですが、新入寮生が段々とこの寮にも慣れてきたせいか、先輩達とも話すようになり、この寮も前と変らず明るさを取りもどし、活発な寮になることでしょう。恐怖の新歓コンパや楽しい春期・秋期の合ハイなどの行事を経験するに従い仙台興譲館の名に恥じない寮生に育つことを期待しております。
 最近有為会仙台支部の好意により、風呂場・旧館の雨もり・雨どいなどを改善していただけるようになり、寮生一同以前の不便さを思うと大変うれしく思っています。この改善工事により多分に住みよい寮になることと思います。特に旧館に住んでいる上級生達は雨もりがなくなるということで、大変よろこんでいました。
 話は変りますが、昨年度の寮の行事は例年通り行なわれました。それから当寮では、秋期合ハイ(芋煮会)の相手学校と有志で、数年ぶりにカクテルアンドダンスパーティーを催しました。このパーティーのためにダンスを知っている先輩を引っぱり出し1週間練習を重ね、体に鞭打たれながら死ぬ思いで覚えさせられ、カクテルも寮生がバーテンをやり、自分達でカクテルを作るといった凝りようでした。
 しかしうれしいことばかりあるはずがなく、諸物価が年々上昇し、特に食品類が異常に上昇したことにより、現在食費をあげるかどうか寮生総会で審議中であり、寮母さんのやりくりも大変だろうからおそらくあげるだろうと思います。寮生活といえどもそんなに楽ではないのが現状です。最後に寮生を紹介して終ります。
  高 橋 賢 治 (東北大 教)
  清 水   潤 (東北福祉大)
  佐々木 泰 次 (東北大 工)
  槙 山 正 春 (東北大 文)
  後 藤 源一郎 (東北大 法)
  梅 津   勝 (東北工大)
  漆 山   茂 (東北学院大 文)
  高 橋 邦 彦 (東北福祉大)
  竹 田 浩 行 (東北大 理)
  半 田 和 彦 (東北大 文)
  蔵 俣 邦 彦 (東北学院大 法)
  嶋 倉   誠 (東北大 農)
  菅 野 和 弘 (東北学院大 文)
  我 妻   明 (東北工大)
  鈴 木   泉 (東北大 農)
  寒河江 忠 篤 (東北大 工)
  五十嵐 浩 幸 (東北大 理)
新入寮生
  大 浦 雅 宏 (東北学院大 経)
  岩 間 泰 実 (東北学院大 経)
   鈴 木 秀 利 (東北大 経)
   石 川 裕 之 (東北大 経)
   佐 藤 孝 喜 (東北大 理)
   工 藤 為久夫 (東北大 理)
   加 藤 裕 司 (東北大 工)
   土 屋 一 成 (東北大 医療短)
   上 村 英 俊 (宮教大 教)


札幌興譲館

 ようやく厳しい寒さから解放され、コートを脱いだ市民にもほっとした風情が感じられるこの頃です。すでに百万都市になって久しく、自然を克服したかに見える札幌ではありますが、やはり春の訪れにはひとしお感慨深いものがあります。
 さて、昨年も新入生歓迎会に始まり、ダンスパーティー、芋煮会、餅つき大会等、時には有為会の皆様と御一緒に楽しい寮生活を送り、先頃追い出しコンパとともに3人の卒業生が、大学生活の思い出を胸に巣立っていきました。
 年月の流れとともに多くの卒業生を世に送り出した当寮ではありますが、今年には遺憾にも新入生としての入寮はなく(2年生の中途入寮者が1人)、寮生一同、もうひとつ意気があがらない毎日です。これは、この地への大学入学者の減少が主な原因といえそうですが、加えて、大学生の意識の変化も見逃せないのは確かな様です。寄らば大樹の蔭にたとえられる消極性や小市民的意識への傾斜等、現代の青年について、最近話題になっています。勿論価値観の推移、相対的な裕福さ、教育制度等により原因を判断することは容易でしょう。とにかく、このような傾向が顕著になり、また現に、互いに学問、人生観その他について切磋琢磨するという側面を持つ寮内においても徐々にではあるが、その傾向が入り込んできているということを見ると、寮生活を希望するという人が少なくなるのは肯けるのです。
 この結論は独断かもしれません。しかし現に、新入生の入寮者がゼロになってしまった今、当寮を経営していく上で重大な岐路に立っていることは確かでしょう。
 また春が巡ってきました。ポプラ並木もようやく緑を増してきました。北海道へのロマンを求め、津軽海峡を渡る学徒の増えることを切に望みます。
 在寮生名簿(全員北海道大学です。)
  岡 崎 修 三 (理院博2  山形南)
  丹 野   久 (農院修2  興譲館)
  佐久間 雄 三 (工 衛生4 山形東)
  五十嵐 武 徳 (工 建築4 興譲館)
  佐 藤 清 二 (工 土木4 長井)
  安 達 勝 茂 (工 衛生3 山形南)
  佐 藤 一 穂 (教 文類2 山形南)
  大 泉 勝 利 (教 理Ⅱ2 寒河江)
  船 木 昌 幸 (教 理I2 興譲館)
  佐々木 雅 夫 (教 文Ⅲ2 新庄北)
  鈴 木 哲 史 (教 理I2 興譲館)
  黒 沢 政 浩 (教 文Ⅲ2  ″ )
  堤   啓 一 (教 文Ⅱ2  ″ )
  高 橋 健太郎 (教 文Ⅲ2 東葛飾)