米沢有為会会誌復刊27号(昭和53年6月)
興譲館だより(昭和53年、1978年)
東京興譲館
寮の窓から眺める風景もめっきり春めき、新緑を吹きぬける風も心地好いものがあります。一人又一人と、今年もまた新寮生が、米沢の匂いを運んで集まってくると、7名の諸先輩の卒業や数名の退寮などで、寒々としていたこの寮も息を吹き返したように感じられる今頃です。昨今の不況風は、寮にもふき荒れ、昨年は、寮費の値上げ、例年の旅行などが取り止めになるなど、経済的には決して明るい年とは言えませんでしたが、その中で、寮生の親睦を深め、意気を高めようと、各種の行事が行われました。新入生の歓迎をかねた早朝マラソン、年2回の大掃除に草むしり、これは1年のうちで当寮の常識からは考えられない時間帯に活動が始まる、またとない貴重な日々でもあります。また、一時低迷しておりましたが、最近とみに役者もふえ、雰囲気が盛り上がってきた感のある各種のコンパも、その意義を考えるに重要な存在であったと思います。特に、行事としてはメインとなる寮祭は、ここ数年の諸先輩の努力がつみ重ねられたことにより、昨年も盛況で終わり伝統らしきものが形成されてきたのではないかとさえ思われます。寮の玄関前にステージをすえ、のど自慢大会なども開かれ、数年来続けられている花笠パレードとあわせ、地域の人々との交流に多少とも貢献しているのではないでしょうか。寮祭を自分達の手で創り上げてゆく過程が存続する限り、寮という共同体はその存在意義を失うことはないだろうし、その過程から生じる緊張や相互の葛藤・衝突などが、寮をして寮たらしめる一条件をなしていると考えられます。もちろん、普段の生活の充実こそが、我々の一番心がけるべき事でしょうが、精神を高揚させる一節をつくる上で、寮祭は高く評価されてしかるべきものと思います。
4 年 生
市 川 長 文 (上智大 経済)
山 口 清 樹 (電気通信大 物理工学)
山 田 栄 造 (中央大 法 法律)
吉 田 健 一 (早稲田大 教育 教育心理)
3 年 生
荒 木 謹 厚 (国士館大 政経 経営)
井 上 和 広 (国土館大 政経 経済)
高 橋 真 (日本大 商 商業)
戸 田 敏 男 (国士館大 工 建築)
長谷部 正 男 (日本大 商 商業)
前 山 健 二 (国士館大 政経・経営)
皆 川 浩 一 (高千穂商科大 商)
2 年 生
佐 藤 恵 次 (法政大 法 法律)
情 野 武 志 (日本大 文理 心理)
宇 野 広 一 (中央工学校 建築)
小 関 利 之 (法政大 経済)
熊 沢 広 二 (駒沢大 経営)
尾 形 良、雄 (東京経済大 経済)
志 田 正 伯 (中央大 経済 国際経済)
山 田 新 一 (東京経済大 経済)
山 口 耕一郎 (日本大 理工 薬)
土 屋 宏 (東京電機大 工 電気通信工学)
大 友 久 雅 (横浜国立大 工 金属工学)
遠 藤 陽 一 (東京農業大 農 農業経済)
1 年 生
玉 木 啓 一 (早稲田大 教育 体育専修)
佐 藤 芳 明 (立教大 法 法学)
岩 瀬 行 弘 (法政大 社会 応用経済)
後 藤 義 之 (専修大 経済)
森 谷 宏 之 (専修大 経営)
情 野 敏 (東京農業大 農 農芸化学)
近 野 富 裕 (東京農業大 農 栄養)
本 間 勤 (工学院大 工 電気工学)
今 井 康 広 (明治大 文 英米文)
山 口 昇 一 (明治大 法 法律)
佐 藤 栄 二 (早稲田大 社会科学)
仙台興譲館
ここ仙台では、つい先日まで膚寒いような日が続いておりましたが、ようやく桜の花も咲きだし、やわらかな日差しの中で生きている事の喜びを感じられるような季節となりました。当寮の寮生も春の日差しに誘われて、外に出てキヤッチボールをやったり、マラソンを始めたり、元気一杯で頑張っています。
さて、今年当寮では、4名の有為なる諸先輩方を社会に送り出しまして、寮内も火の消えたように静かになり寂しいかぎりでしたが、4月には新入寮生4名を迎えまして、寮生一同心を新たにして頑張っており、以前の賑やかさが戻ってきまして、活気に満ちた寮生活を過ごしております。新寮生たちは、寮生活に大分なれてきたようですが、これから寮の年中行事を経験するにつれて、寮の生活や雰囲気に一層なじんでいくことでしょう。
昨年の暮れ頃に、前の寮母さんが都合でおやめになられまして、今は新しい寮母さんが私たち寮生の世話をして下さっております。本当にわがままな寮生のことをいろいろと気遣って下さいまして感謝しております。
昨年、仙台支部の方から、寮敷地内の一部を利用して駐車場にし、近隣の方々に賃貸してはという提案がございまして、寮生総会で可決され、寮生の意向も加えていただいた上で、昨年の6月から駐車場ができました。近々その工事費などの返済も終わるそうで、支部の財政にも余裕が出てくることでしょうし、寮としても修理費などを出してもらうにも何かと都合がよくなることでしょうから、仙台の支部にとりましても寮にとりましても喜ばしいことであると思います。
次に、寮の行事として、今年も新歓コンパや合ハイなどが予定、計画されており、係のものは大張り切りで新歓の準備及び合ハイの計画立てを行なっており、寮生の期待を一心に集められ、その期待に答えるべく努力しているようです。みんなといっしょに遊べる、きらめく初夏の日が楽しみです。
この広い世界の中、何十億といる人類の中で多少なりとも縁のあるみなさん、ともに光あるあかつきの日のために己れをみがき日々精進し道をきわめていきましょう。己れの心に忠実に他人に寛容にともに歩みよりましょう。
最後に寮生を紹介して終わります。
上 杉 則 彦 東北大 工(大学院)
星 裕 之 東北福祉大
渡 辺 雅 訓 東北工大
鈴 木 祥一郎 東北大 理
後 藤 則 夫 東心大 土
錦 斗 美 夫 東北大 農
船 山 政 志 東北福祉大
梅 津 仁 司 東北大 工
吉 村 浩 東北大 経
佐々木 泰 次 東北大 工
遠 藤 周 東北大 文
槇 山 正 春 東北大 文
清 水 潤 東北福祉大
高 橋 邦 彦 東北福祉大
嶋 貫 良 一 東北大医療技術短大
今 井 邦 夫 東北大歯科技工士学校
梅 津 勝 東北工大
漆 山 茂 東北学院大 文
以下は新寮生
赤 木 亮 東北福祉大
竹 田 浩 行 東北大 理
半 田 和 彦 東北大 文
蔵 俣 邦 彦 東北学院大 法
札幌興譲館
厳寒と記録的な大雪に悩まされた冬が去って、道行く人々の足取りさえもが、一際、軽やかに感じられます。冬の厳しさ由に、春を迎えた感慨がひとしおであり、冷酷な自然と闘い、さい果ての地を開拓した先人の苦労の程が思われます。昨冬は、凍てついた大雪のために、屋根、天井、煙突、窓ガラス等の破損が相次ぎ、緊迫した毎日を送りました。かの有名な北大恵迪寮の老朽化には及ばぬものの、近い将来に寮舎の根本的な改善が待たれるところです。
さて、例年のことながら、新入生歓迎会に始まり、ダンスパーティー、合同ハイキング、いも煮会、もちつき大会、等々、時には、有為会の方々と一緒に、寮生活を謳歌してきました。そして、3月には、2名の卒業生が大学生活に別れを告げ、名残惜し気に津軽の海を渡って行きました。しかし、別れの哀愁も束の間、5名の新入生が続々と入寮を果たし、ロマン溢れるこの地で、それぞれの大志を果たさんとしております。
こうして月日の流れと共に一つのサイクルが終わり、また新しい時期が動き出しています。寮生が入れ代われば、多少とも寮内の雰囲気が変化を遂げることは、止むを得ない事実であるが、一体それは、如何なる影響をもたらすものであろうか。
寮行事に参加し、互いの親睦を深め、エンジョイすることは、寮生活の一面として有意義であり、否定すべくもない。恐らくは、今も昔も変わらぬことであろう。問題なのは、互いに寮生と接触する中で、学問に関することであれ、政治であれ、人生であれ、自己の胸の内を明かすことが、或いは、他の寮生の考えを吸収することが出来るか否かであると思う。言わば、率直な意見交換の機会が持たれているか、又、その前提として、我々寮生は自己の主張を育んでいるのか、この点が寮生活の他の面として考えられて然るべきであると思う。
今、ここで、黒白の如く断固として判断を下すことは出来ないが、少なくとも現時点では、先に上げた様な問題について、消極的な態度を取っていると言える。かつ、その方向へ走る速度を刻々と速めつつある。
我々、学生が無気力さを指摘されて久しい。これを歴史の変化、社会思想の変化の所産であると片付けるのは易いが、そうすることは、寮の片方の肺を失う程の痛手ではないだろうか。多くの人間との対話を求めて入寮する学生が1人ならず存在することは事実である。
独断的、かつ、論点があいまいであり、興譲館だよりとするには忍びないが、御許しを乞いたい。
最後に、本年度の寮生を紹介致します。
大学院生
鈴 木 啓 助 北大環境科学研究科
岡 崎 修 三 北大理学研究科
四 年 目
久 松 宏 北大法学部
川 崎 史 郎 北大農学部
丹 野 久 ″
奥 山 信 也 北大工学部
三 年 目
五十嵐 敏 彦 北大理学部
笹 原 幸 也 ″
後 藤 紀 夫 北大法学部
二年目
佐久間 雄 三 北大教養部
五十嵐 武 徳 ″
佐 藤 清 二 ″
一 年 目
安 達 勝 三 ″
管 野 哲 ″
佐 藤 一 穂 ″
鈴 木 長 市 ″
関 博 貴 ″