米沢有為会会誌復刊21号(昭和47年6月)
興譲館だより(昭和47年、1972年)
東京興譲館
都心を離れて、田園の雰囲気をただよわせるここ調布も、桜の花も散り、ようやく春らしさを感じさせるようになってまいりました。さて、当寮では、9名の有為なる諸先輩を社会に送り出し、新たに13名の希望にもえたつフレッシュマンを迎えようとしております。なお武田篤氏は、今春、青山学院大学を卒業して、同大学院に進まれ、さらに一層勉学に励もうとしており、当寮に残り、我々のよき兄貴として、指導していただくことになっています。
若さと新鮮さにあふれる13名の新入生諸君も、ほとんど入舎しましたが、まだ慣れないせいか、まごついているようです。彼ら新しい世代の力が、また寮の新しい伝統を創り上げてゆくことでしょう。
さて、この春には、今まで3年余の長きにわたって私達の世話をして下さいました梅津おばさんが辞められました。わがままな寮生の相手をして下さった苦労は並々ならぬものがあったろうと思われ、寮生一同深く感謝しておる次第です。梅津おばさんに代わって、この度新しく田中おばさんをむかえました。まだまごついているようですが、まだ来てから日が浅いせいだと思います。これから寮生と一緒になって、寮のためにつくしてくれることと思います。
当寮では、昨年いくつかの行事が催され、そのなかで、スポーツ面では、山形県5寮対抗バレーボール大会、野球大会等が催され、好成績を残しました。また寮内では、寮祭の一環としての学年対抗駅伝大会や、テニスコートを使用して、バレーボール大会等、これから5月にかけて、テニス等が行なわれ、日頃の運動不足を解消しようとしております。
恒例の寮の旅行も、春は伊豆熱川、秋は塩山温泉へと行き寮内とはまた別の雰囲気の旅行先で、大いに飲んで話し合い、楽しいひとときを過し、大所帯東京興譲館の親睦に一役果たした様です。
スポーツ、遊びとならび勉強のほうも、自分なりにしっかりやっているようであり、遊びと勉強とはけじめをつけて、毎日を過ごしているようです。
このように私達48名の若人は、寮生活という基盤のうえに、学問にスポーツにと各方面に活躍し、寮生一同、互いに切磋琢磨して、楽しい寮生活を送っています。
最後に寮生を紹介して、ペンをおかせていただきます。
4年生
伊 藤 隆 明 東経大 経
稲 毛 正 夫 専大 経
伊 藤 真 明大 法
加 藤 透 早大 理工
金 子 哲 法大 工
鈴 木 正 志 北里大 衛生
戸 田 直 博 専大 営
横 沢 憲 治 国士館大 工
吉 田 俊 一 慶大 法
渡 部 達 雄 明大 商
渡 部 幸 雄 国士館大 政経
3年生
神 尾 啓 司 二松学舎大 文
香 坂 洋 一 東農大 醸造
後 藤 純 明 明大 文
小 林 暁 美 亜大 法
鈴 木 信 幸 中大 経
豊 野 保 之 東薬大 薬
福 島 実 東経大 経
山 本 和 夫 東経大 営
渡 部 秀 丈 駒大 経
2年生
安 藤 吉 良 日大 法
今 井 良 之 明星大 理工
加 藤 裕 司 国学院大 文
金 田 明 一橋大 法
川 井 陽 一 早大 法
菊 地 隆 雄 大東文化大 文
斎 藤 彰 助 中大 法
島 倉 静 夫 専大 商
島 貫 正 則 早大 商
鈴 木 孝 明 都立大 工
鈴 木 寿 一 明大 商
鈴 木 浩 美 明大 法
田 村 敏 之 明大 工
山 口 徳 芳 明大 政経
新入舎生
小 野 庄 士 東教大 理
貝 沼 孝 二 東大 文I
後 藤 茂 法大 工
駒 形 吉 則 明大 商
志 釜 直 登 東農大 農経
志 田 芳 宏 中大 理工
島 津 清 美 立大 法
棚 橋 達 雄 青学大 理工
塚 田 富 夫 早大 教
長 瀬 照 文 中大 理工
仁 科 義 英 早大 政経
平 賀 悦 男 法大 社
武 田 篤 青学大 大学院理工
仙台興譲館
ここ杜の都仙台では、まだ冬のなごりを思わせる冷たい風が吹いているものの、春の陽光に満ちあふれ、春到来せりといった所です。大学構内のキャンパスには希望に満ちあふれた面持ちのフレッシュマンがたたずんでいる様子もちらほらみかけられるようになりました。ここ3日間余りの雨のため、やや遅れたようですが、当寮の玄関の側の桜のつぼみはようやくふくらみ始めたようです。数日たてば寮生一同花見ができるのではないかと思われます。
さて当寮恒例の追出しコンパが1月末に行なわれました。今年はわずか4人の卒業生ということで、下級生が遠慮したのか? 或はまた先輩が下級生を買収したのか? とても穏やかな追出しコンパでした。
2月に入って行なわれる予定だった大学の期末テストは授業料値上げ問題のため、東北大教養部(1年と2年)が3月末に延期、東北学院大がレポート制にそれぞれ変更されたため、寮内もだいぶあわただしい様相をみせていたようです。東北大教養部のテストは3月21日から機動隊駐留という異常事態下で行なわれたため、学生の3分の2余りが試験をボイコットするという事態に到り、当寮でもボイコットをする人達が続出し、寮生同士でも熱心な話し合いが行なわれていたようです。現在はやや大学も落ちつきを見せていますが、新学期が始まれば授業料値上げをめぐって騒然となることが予想され、寮生同士でも熱心な討論が行なわれていくことでしょう。
冬の間は、娯楽としてマージャン、囲碁に大変人気がありましたが、気候の良くなった今日、戸外での運動が盛んになっていくことでしょう。最近は寮生の間にもステレオ、テープ、ラジオ、プレーヤーなどで音楽を愛好する人が多くなってきました。
今年も当寮では6名の新入生をむかえました。まだ来たばかりといった所ですので、いろいろとまごついているようですが、早く寮の生活に慣れ寮生活の長所、短所を自覚して元気に大学生活を送ってほしいものです。現在新入生も含めて、部屋の移動が行なわれており、部屋替が終ると、相部屋同士の人がそろってアルコールを飲むという光景も見られるようです。
最後に館長の桑島先生、支部長の小松さんにはいろいろと寮生一同お世話していただき感謝しております。
では最後に寮生を紹介してペンをおきたいと思います。
大学院生
海 野 洋 東北大 理学部
4年生
沼 沢 幸 雄 東北大 工学部
松 田 孝 東北大 工学部
和 田 彰 造 東北大 理学部
3年生(予定者、まだ進級者の発表が行なわれてない)
青 木 隆 生 東北大 工学部
大 浦 真 行 東北大 工学部
佐 藤 祥 一 東北大 工学部
佐 藤 修 二 東北大 工学部
佐 藤 憲 一 東北大 理学部
関 猛 東北大 文学部
2年生
安久津 徹 東北大 理学部
遠 藤 嘉 一 東北大 工学部
遠 藤 雅 弘 東北大 経済学部
大 竹 紀 夫 東北大 工学部
大 場 正 博 東北大 工学部
渡 辺 明 夫 東北大 工学部
高 橋 省 東北大 工学部
鈴 木 益 夫 東北学院大経済学部
竹 田 富 一 東北大 農学部
向 田 吉 広 東北大 経済学部
1年生
金 内 斉 東北大 機械系
宮 崎 努 東北大 化学系
山 口 浩 東北大 化学系
清 水 智 誠 東北学院大経済
高 橋 修 一 東北工大
渡 辺 雅 訓 東北工大
札幌興譲館
北海道も、4月を迎えてから、めっきり春らしくなりました。今年は、当地札幌に於いて冬季五輪が歴史的に開催され、すっかり、世界の都市としての装いを整えました。2月8日のバイアスロン競技には、故郷、米沢から上杉藩稲富流砲術隊が参加する予定でしたが、あいにくの吹雪にみまわれ、当寮生も朝早くから、意気揚々かけつけたのでしたが、むなしく引きあげて来ました。2月10日には、卒業生送別会(通称追コン)を催し、計4人の諸先輩(岡田昌彦、山水史生、小口栄吉、安部和夫)を送り出しました。会場には"がんばれ、上杉藩鉄砲隊"などとかかれた横幕を張り、支部長さんも、かなり張り切って卒業生の前途を祝しておられたようでした。
さて、昨年度は、当寮においても、変化のみられる年であったようです。新入生も6人と例年より多く、なかには、かなりやる気のある1年生もいて、行事も順調に行なわれました。6月には、早々とダンスパーティーなどを積極的に行ないました。次の日からがまた楽しみで、"あの子から電話が来たとかやったとか、僕と踊った子はかわいかったとか"などの話でもちきりでした。あのころは、ちょうどリラの花が冷ややかなかおりを漂わせている季節でした。秋たけなわの10月には、札幌郊外の十五島公園で、清和寮(女教養)の人と合同ハイキングを行ないました。この日は、朝からぬけるような秋晴れで、ナベをもって、ふらり、ふらりとどこかに消えてしまう寮生もいる始末で、バレーボール、バドミントンなどをやったり、ギターに合わせて歌をうたったり、芋煮を食べたりして秋の1日を楽しみました。
昨年度は、寮全体として、比較的活気のある年でありましたが、今年度は、尚一層、文化的な行事をやってゆきたいと思います。