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米沢有為会会誌復刊20号(昭和46年8月)
興譲館だより(昭和46年、1971年)

東京興譲館

 調布の梅雨は、今がさかりである。
 常夏のハワイには、梅雨がないという。外国好きの寮生のもっぱらの話である。今年の3月に追出された、4名の先輩諸氏は、雨にも風にも愚痴ひとついわずに、お仕事に精を出しておられる事であろう。
 新しく入った寮生も、そろそろ寮風にもなれ、また生き馬の目をぬくといわれる東京の生活にもなれ、独自の生活をつくりつつある。
 新寮生は、全部で14人、学校もいろいろである。特に目だつのは、明治大学の学生が5人も入ったことである。これで寮内の明大学閥が、一段とふくれあがったもようである。
 恒例の行事である新入生歓迎コンパでは、酒を初めて飲むと言う1年生に、先輩が群がり盛大な歓迎ぶりであった。また春の旅行は、諸物価値上がりによる財政困難を理由に中止にするつもりが、寮生の希望で委員会が金策し、どうにか例年どおり行なわれた。
 今年は、テレビの影響で、伊豆の熱川に決定、1年生をはじめ、暇があって金のない寮生が大勢で出かけた。宿についての夜は、それぞれ楽しく遊んだが、朝起きてみたら、伊豆はあいにくの雨だった。それでも何をやって来たのかみんな帰りは夜になったもようである。
 いろいろな行事も、学校が違って時間の合わない中をやりくりして一生懸命やっている。この事が、寮生の、若さになって表に出るのではなかろうか。
 一時期はげしかった学生運動も、だいぶおさまり、学校も平穏に授業をやっている。しかし地下鉄や国鉄、私鉄のストがあり、5月はほとんどの学校が影響を受けた。寮生は、五月晴れの中で日頃の運動不足を取りかえすのはこの時ばかりと、テニスや野球に汗をながしていた。
 東京の生活は、一般に運動不足になりがちである。食生活はめぐまれていても、運動の場にめぐまれていないのが理由と思われる。このような生活から、種々のストレスが発生するのであると思われる。幸なことに当寮には、テニスコート兼バレーコートがあるのでいつでも運動できる。このコートの整備が、6月に全員の手によっておこなわれた。
 なお参考までに当寮生のストレス解消法を2、3あげてみる。
 ・月に1回は、どこかへ出かける。
 ・1週間に、1回は、かならず酒を飲む。
 ・楽器を乱打する。
 ・ボリュームをあげて音楽を聴く。
 ・部屋で毎日欠かさず運動する。
 変わったのでは、海外旅行をするというのもある。現在、ヨーロッパを自転車でまわっている元寮生だった人もある。
 ざっとあげてもこのぐらいある。これもすべて、東京での、生活の知恵であろうと思われる。
 もう6月も終りである。学生の夏は、充実していなければいけない。寮生も今から計画をたてているであろう。9月には、まっ黒で思い思いの顔で、帰寮するはずになっている。
 以上、東京興譲館の寮生活の一部を、御報告いたします。では最後に現在の舎生を紹介してペンをおきます。

   4  年
 伊 藤 秀太郎  明大  法
 川 越   治  中大  商
 関     博  東経大 経
 武 田   篤  青学大 理工
 長 沼   健  明大  工
 福 崎   進  工学院大 工
 横 山 敬一郎  明大  工
 我 妻 武 史  日大  社
 渡 部 良 助  中大  商
   3  年
 伊 藤 隆 明  東経大 経
 伊 藤   真  明大  法
 稲 毛 正 夫  専大  経
 加 藤   透  早大  理工
 金 子   哲  法大  工
 鈴 木 正 志  北里大 衛生
 鈴 木   均  早大  文
 戸 田 直 博  専太  経営
 長谷部 純 一  慶大  法
 山 上 了 史  国学院大 文
 横 沢 憲 治  国士館大 工
 吉 田 俊 一  慶大  法
 渡 部 達 雄  明大  商
 渡 部 幸 雄  国士館大 政経
   二  年
 神 尾 啓 司  二松学舎大 文
 香 坂 洋 一  東農大 醸造
 小 林 暁 美  亜細亜大 法
 後 藤 純 明  明大  文
 鈴 木 信 幸  中大  経
 豊 野 保 之  東薬大 薬
 福 島   実  東経大 経
 山 本 和 夫  東経大 経営
 渡 部 秀 文  駒大  経
   一  年
 安 藤 吉 良  日天  法
 今 井 良 之  明星大 理工
 加 藤 裕 司  国学院大 文
 金 田   明  一橋大 法
 川 井 陽 一  早大  法
 菊 地 隆 雄  大東文化人 文
 斎 藤 彰 助  中火  法
 島 倉 静 夫  専大 商
 島 貫 正 則  早大  商
 鈴 木 孝 明  都立大 工
 鈴 木 寿 一  明大  商
 鈴 木 浩 美  明大  法
 田 村 敏 之  明大  工
 山 口 徳 芳  明大  政経


仙台興譲館

 4月、5月と連日のように暖かい日が続き、涼しい服装もチラホラ見え始めた杜の都仙台でしたが、6月に入ってようやく入梅宣言が発表され、霧雨の続く今日このごろです。
 さて、5年間の長きにわたって1人で30人もの寮生の世話をしていただいた小松栄子おばさんが、1月に事情あってやめられ、後任のおばさんがなかなか見つからず、テスト期間中はパートタイムで、館長の桑島先生のお世話で、臨時におばさんに来ていただき、当座をしのいだような状況でしたが、その後近所の方の紹介で、現在の渋谷おばさんに来ていただき、寮生一同ホット一安心といった所でした。初めはとまどっておられたおばさんも最近はすっかり板についた感じで、積極的に寮内の世話をして下さっております。
 13人も寮を去り、一時はだいぶ空虚になったのもつかの間のこと。春のかけ声とともに大量12大の新入生が入寮し、人数では完全に他学年を圧倒しており、そのせいか案外早く寮生活になじみ、最近は、各々個性ある生活を送っているようです。

奥松島への合同ハイキング

 5月上旬には野球の対外試合が行なわれました。朝6時という、日常の寮生活から考えると異常な早さであるにもかかわらず、元気にプレーも応援もやっていたようです。試合は乱戦模様になりましたが、新入生の活躍もあり、我寮の勝利に終わりました。
 また恒例の春のピクニックは看護寮と合同で昨年同様、奥松島へ行きました。日頃の精進のたまものか(?)暑くもなく、一時降り出した雨もやみ、浜辺のゲームでは、妙に足をとられて豪快にころげ回った入も多く、岩の上で波をかぶって、水もしたたるいい男になった人もいました。また4年生は少数を意識してか、下級生にまけじと張りきっていたようです。昨夜の睡眠不足もなんのその、皆な元気に、楽しい1日を過ごしました。
 勉強の合い間の娯楽としては、マージャン、囲碁に人気があり、天候にめぐまれた日には、卓球、野球、庭球などをして若さを発散させているようです。
 躍動の1970年代に世界の柱となって生きるべき若者として、各人各様のやり方で、自己を鍛えているようで、しばしば意見の交換が行なわれています。
 杜の都仙台でも、最もめぐまれた環境にある当寮では、空が白み始めるころには、鳥のさえずりがあちこちから聞こえてきます。寮生一同、この様な環境の中で、今年も有意義な寮生活を送りたいと考えています。
 では最後に、寮生を紹介してペンをおきたいと思います。

    4年生
 海 野   洋  東北大理学部
 高 橋 良 見  東北大理学部
 本 田 政 夫  東北学院大経済学部
 山 口 文 志  東北学院大経済学部
 横 井   博  東北大理学部
    3年生
 沼 沢 幸 雄  東北大工学部
 松 田   孝  東北大工学部
 和 田 彰 造  東北大理学部
    2年生
 青 木 隆 生  東北大工学部
 大 浦 真 行  東北大工学部
 佐 藤 憲 一  東北大理学部
 佐 藤 修 二  東北大工学部
 佐 藤 祥 一  東北大工学部
 佐藤 助右衛門  東北大経済学部
 三 原 庄太郎  東北大経済学部
    1年生
 安久津   徹  東北大理学部
 遠 藤 嘉 一  東北大工学部
 遠 藤 雅 弘  東北大経済学部
 大 竹 紀 夫  東北大工学部
 大 場 正 博  東北大工学部
 加 藤   透  東北大工学部
 鈴 木 益 夫  東北学院大経済学部
 竹 田 富 一  東北大農学部
 高 橋   省  東北大工学部
 向 田 吉 広  東北大経済学部
 渡 辺 明 夫  東北大工学部
 渡 辺 貞 裕  東北学院大工学部


札幌興譲館

 札幌は6月に入ってから、急に夏の装いに変りはじめ、梅雨のない本道は、ライラックの花とともに、すがすがしい気候になってきました。
 昨年度は斎藤興司、藤倉良裕の両名を送りだし、一時は全く寂しくなってしまった寮も4月に元気ハツラツとした6名の新入生をむかえ、やっとにぎやかになってきました。
 4月には、恒例の新入生歓迎コンパを行ないましたが、酒癖の悪い新入生もいて、だいぶ先輩諸兄を困らせ、ついには新入生には酒、自分達は水などという戦術? を使って新入生落城に努めましたが、あまり戦果はあがらなかったようです。
 ところで今年の寮は、新入生6名の影響を受けてか、今までになくアカデミックな雰囲気が漂い、昨年は夜な夜な聞こえたジャラジャラという雀のなき声が週に5回はたまたま4回位に減り、1日中寝ていて学校へ行かない人はいれど、徹マンの疲れで学校へ出られないといった人はあまりいないようです。
 今寮では文集発行の準備を進めており、寮長みずからがり切りにはげんでおります。今まで寮生の間に日誌の交換などあって、各自の思う所を思うままに書いてもらおうということでしたが、途中で紛失するものが続出して、ついに初めの目的をたっすることが出来ませんでした。文集の方はもう少しでがり切りも終るところで、これからも、年に何回か発行することによって、寮生の認識を深め、そこから、新たに問題提起の役割をもたせることが出来ると寮生一同期待しております。


 興 譲 館 大 会 報 告

 東京、仙台、札幌各興譲館の寮生が夏休みに米沢に帰省した折に一堂に集まり、興譲館高校の施設をかりてスポーツに興じ、その晩は旅館に泊って、青春のエネルギーを発散し合っています。これが各興譲館寮生の親睦を深めようという主旨のもとで毎年行なわれている興譲館大会というものです。主催は、仙台、東京興譲館の交代でやっております。今年は仙台興譲館の主催です。2人の担当員をたて、例年に増した企画で取り組んでいます。どうか皆さんこぞって参加して下さい。最後に先輩の皆様にもぜひ御参加して頂き、いろいろお話ししていただければ幸いです